前回のあらすじ
初めてQを知ったとき、トラビス・ビューは思いました「なぜ、こんなことを信じるんだ」。彼はQアノンについて、1800年代に存在したとある組織との類似を指摘します。ではなぜQアノンはここまで大規模になったのか。「Qアノンの天敵」となったビューは3つの理由を教えてくれました。
1月15日、米アリゾナ州フローレンス。前米大統領のトランプが、今年初めてとなる集会を開いた。
演説の何時間も前から、トランプ支持者が列をなした。「トランプ2024」。そう記された星条旗柄の帽子をかぶったジム・ソファ(56)は、1人でコロラド州からやってきた。
ソファは「議事堂襲撃事件のとき、現場にいた」と言い、当時の写真を自慢げに何枚も見せてきた。トランプを好きな理由を聞くと、「真実を教えてくれるからだ」と言い、「グローバリストが世界を滅ぼす」とか、「選挙には不正があった」とか、「投票集計機に問題があった」と訴えた。
私はピンときて、「あなたはQアノンですか」と問う。するとソファは「Qアノンなどいない。Qと、アノン(名無しの信奉者)たちがいるだけだ」と言った。これは、Qアノン信奉者に特有の言い回しだ。
Qアノン
「世界は小児性愛者の集団によって支配されており、悪魔の儀式として性的虐待や人食い、人身売買に手を染めている」という陰謀論、またはそれらを信じる人たちを指す。信奉者はそうした集団を「ディープステート」(影の政府)とみなし、民主党の政治家やハリウッドスターらが所属していると考えている。
質問を重ねる。「Qは誰だと思いますか」
「おそらく、ドナルド・トラ…