「検察なめんな」「ふざけんな」 特捜検事はなぜ、一線を越えたのか

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森下裕介、松浦祥子
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 2021年7月8日、大阪地裁の201号法廷。業務上横領事件に関与したとして起訴された東証1部の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長(59)の公判で、大阪地検特捜部の検事が、プレ社の元部長に取り調べをした際の映像が流された。傍聴席には、検事と元部長のやりとりの音声のみが響いた。

 「うそは本当に言うつもりはないんで」

 そう話す元部長に、検事は語りかけた。

 「でもね、あえて僕の心証を申し上げる。あなたが事件で果たした役割って『僕は共犯になるんですか』みたいなかわいいもんじゃないと思いますよ」

 特捜部は19年12月5日、学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)の土地売却にからみ、法人の資金21億円を着服したとして、法人元理事長やプレ社元部長、プレ社の取引先の不動産会社元社長ら5人を業務上横領容疑で逮捕した。当時、元部長や不動産会社元社長が横領のスキームを山岸元社長に説明していたか、が捜査の焦点になっていた。説明していたなら、山岸元社長も事件に関与していた可能性が高まるためだ。

 検事は再三、関与の有無を元部長に問いただしたが、元部長は逮捕された後、否定をし続けていた。

 検事は、さらに畳みかけた。

 「あなたはプレサンスの評判をおとしめた大罪人ですよ」

 「損害を賠償できます?10億、20億じゃ済まない。それを背負う覚悟で今、話をしていますか」

大阪地裁は昨年10月、検事の発言の一部について「真実と異なる供述をさせかねない」と指摘し、山岸忍元社長に無罪を言い渡しました。大阪地検は取材に「取り調べにおける具体的なやりとりについては、お答えを差し控える。無罪判決に至ったことは真摯(しんし)に受け止め、今後の執務に生かしてまいりたい」と書面で回答しました。

 「背負えっこない。だから…

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