第9回理念ゆるがす「蟻の一穴」に 法律家になる「一発勝負」が残った背景

有料会員記事

編集委員・豊秀一
写真・図版
[PR]

 法曹養成の「プロセス」を重視する法科大学院構想をめぐり、それと相反する選択肢が議論されていた。「予備試験」制度である。法科大学院で学ぶことが難しい人のための例外的措置だったはずのものがいつの間にか変質し、結果的に法科大学院の理念を揺るがせる「蟻(あり)の一穴」となっていく。連載第4回は、この制度をめぐる議論を追う。

 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手にてんびんと剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。司法制度のあり方を考える「テミスの審判」第2部のテーマは、改革の中核とされた「法科大学院」。新しい法曹養成制度として期待されながらも、紆余(うよ)曲折を経て岐路に立つ現状を、制度設計に関わった人々の証言から浮き彫りにする。

 学生と教員が議論しながら知識や論理的な思考力を養い、プロセス重視の仕組みへと転換させる――。法科大学院構想は、こうした理念を骨抜きにしかねない仕組みを内側に抱えていた。「予備試験」だ。

 この試験に受かれば司法試験の受験資格を得る制度で、法科大学院に進学しなくても法律家になれる、「バイパス」としての性格を持つことになる。

 司法制度改革審議会が中間報告をまとめる直前の2000年10月24日。法科大学院の修了を司法試験の受験資格とすることについて、懸念が委員から示された。

例外的な措置のはずだった

 主婦連合会事務局長の吉岡初…

この記事は有料会員記事です。残り2456文字有料会員になると続きをお読みいただけます。