第10回「法科大学院の数を調整するな」 乱立を招いた圧力、見失われた理念

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編集委員・豊秀一
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 「規制緩和」の名の下、制度設計にかかわった関係者の想定を超え、スタート当初に70校超の法科大学院が乱立した。一方、司法試験の合格者の大幅増にもブレーキがかかる。その結果志願者は減り、淘汰(とうた)が進んでいく。連載第5回は、法科大学院への期待がしぼんでいく過程を描く。

 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手にてんびんと剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。司法制度のあり方を考える「テミスの審判」第2部のテーマは、改革の中核とされた「法科大学院」。新しい法曹養成制度として期待されながらも、曲折を経て岐路に立つ現状を、制度設計に関わった人々の証言から浮き彫りにする。

 「法曹養成の中核的機関としての使命に相応しく、従来の大学院のものよりも一層厳格なものでなければならない」

 文部科学省の「法科大学院(仮称)構想に関する検討会議」は2000年9月末、最終報告をまとめ、法科大学院の設置基準についてこう指摘していた。

 00年当時、法学部を抱えていた国公私立大学は90校超。制度設計にかかわった人々は、20~30校規模でのスタートが妥当、と想定していた。高い教育の質を維持できる優れた教員をそろえることを考えれば、数も当然絞られるだろうというのが、大方の見方だった。これに反し、多くが法科大学院の設立を申請し、新たな制度が始まることになった。

 なぜこうした想定外の状況が生まれたのか。

「数を事前調整するなんてとんでもない」

 「事前規制から事後チェック…

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