第11回友人が9・11で犠牲に…未修者から弁護士へ 法科大学院が広げた道

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編集委員・豊秀一
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 質・量ともに豊かな法曹を作っていくという司法制度改革の理念の下、法科大学院が開設して19年目を迎える。その現実の姿は当初描かれた理想の姿とはほど遠いが、法科大学院を修了した法律家が様々な領域で活動している。最終回の連載第6回は、最前線で奮闘する3人の思いを描く。

 ギリシャ神話の女神「テミス」は両手にてんびんと剣を持つ。司法の公正さと正義を表す象徴だ。

 法科大学院開設1年目となった2004年春、5767人が入学した。その中の一人に、土居聡(41)がいた。

 土居は関西外国語大外国語学部英米語学科を卒業し、関西学院大の法科大学院に入学。その後弁護士資格を得て、今は児童相談所の機能を持つ「和歌山県子ども・女性・障害者相談センター」で働く。

 「児童相談所の仕事は子どもが安心して暮らせる方法をチームで考えるということだと思います。時には子どもの生命や安全を守るため、ちゅうちょなく権限を行使しなければならない場面もあるし、逆に権限を乱用しないように注視しておく必要もある。そのためには法的な知識が必要で、この仕事にずっと関わり続けたいと考えました」

 土居が弁護士を目指すきっかけを作ったのは、大学4年生の時の1年間の留学先での経験だった。米・テキサス州の大学で出会った教授は、弁護士として障害者の権利を守る立法にかかわった経験を語り、当事者が声を上げて権利を獲得していく歴史を教えてくれた。教室では学生が活発に自分の意見をいい、土居のどんな発言にも反応し、もり立ててくれた。

 「日本では味わったことのない経験でした」

「人生の選択肢を広げてくれた」

 人権を守る弁護士の仕事に次…

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