沖縄唯一の女子硬式野球部 のんびり屋集団の成長、初の選抜で見せる

佐藤祐生
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(第23回全国高校女子硬式野球選抜大会、3月26日開幕)

 南部商は待望の初舞台に立つ。

 部は昨年4月にできたばかり。沖縄県の高校では唯一の女子硬式野球部だ。

 前校長だった仲山久美子さん(現・八重山商工校長)が、沖縄でも女子が高校で野球を続けられるようにと創部を発案し、2年生2人、1年生11人でスタートした。具志飛馬(ひゅうま)監督(34)が男子野球部の副部長から転じて指導に当たってきた。

 当初は沖縄の酷暑もあり30分練習しただけでへたり込んでしまう部員もいた。まずは1時間、太陽の下で立っていられることをめざした。

 昨夏の第25回全国高校女子硬式選手権大会で「全国デビュー」するはずだった。

 しかし、沖縄では新型コロナウイルスの感染状況が悪化。5月23日には緊急事態宣言が出され、6月には県立校の一斉休校の措置がとられた。

 創部したばかりなのに満足に練習ができない日々が続き、全国選手権への出場は辞退をせざるを得なかった。

 「試合に出るのは時期尚早だった。出て大けがをするよりは、じっくり進めた方がいいと思った」

 具志監督はそう振り返る。

 8月末に愛知県で開催された第12回全国高校女子硬式ユース大会が初めての公式戦になった。

 貴重な経験を積んだ。

 初戦の相手は、2019年のユース大会(20年は中止)で優勝した福井工大福井。1―11で5回コールド負けを喫した。

 体力や技術の差以上に驚かされたことがあった。試合前後も含め、相手選手たちはキビキビと動き、声の出し方も違った。

 主将の一人、仲宗根莉麻(りお)(新3年)は、「自分たちがもたもたとベンチに道具を並べている間に、相手はキャッチボールを始めていた。びっくりした」。

 それもそのはず。地元に同世代の女子の対戦相手はおらず、他県に遠征するのも難しい。男子中学生との練習試合しか経験がなかった。

 具志監督は「勝ち負けよりも、同世代のチームの動きを肌で感じられたのが一番の収穫だった」と言う。

 それ以来、互いに声をかけあってグラウンドに早く出てくるなど、のんびりしていた選手たちに変化が見られるようになった。

 気兼ねなく練習が出来たのは10月から12月にかけての3カ月ほど。その後は再び新型コロナの感染拡大に見舞われた。全体練習ができない間もグループチャットでやりとりし、仲宗根は1日約3キロを走るなど、それぞれに努力を重ねてきたという。

 選抜では26日に加須きずなスタジアムの開幕試合で同じく初出場の日本ウェルネス(東京)と戦う。

 2校だけによる開会式に参加し、仲宗根は日本ウェルネスの主将とともに選手宣誓も務める。

 「仲間の大切さを感じられた1年だった。試合では積み上げてきたものを出したい」と仲宗根。

 目標は公式戦初勝利だ。(佐藤祐生)