第10回路面電車の運転教習、押し寄せる不安と緊張 広電教習生に試練
松田史朗
【動画】「だから私は運転士になる」第2部=遠藤真梨撮影
広島電鉄物語 第三部「だから私は運転士になる」②
「起立。礼。着席」
あこがれの路面電車の運転士をめざし、広島電鉄の養成所の第88期12人の教習生は昨年5月末、学科講習に入った。講習はあいさつから始まり、あいさつで終わる。講義は連日、朝9時から夕方5時までみっちり行われた。
退職者を含むと広電10人目となる女性運転士をめざす山口紗奈(23)、宇都宮市で開通するLRT(次世代型路面電車)の運行会社「宇都宮ライトレール」から出向中の土橋拓実(24)、大手鉄道会社から広電に転職した宮川卓也(34)の3人の姿もその中にあった。
科目は「安全の基本」「運転理論」など九つ。運転法規や安全に運行するための心得など運転に直接関わるものや、電気回路や信号装置など技術的な科目も学ぶ。
教官は身ぶり手ぶりを交え、運転士としてあるべき姿勢や心構えもきびきびと教えていく。
授業は充実していた。教習生たちにとって残念だったのは、コロナ禍のため授業が終われば、家に帰るだけという単調な生活が続いたことだろう。
■物足りないコミュニケーショ…