南方熊楠賞に東京家政学院大名誉教授・江原絢子さん

勝部真一
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 博物学者の南方熊楠(みなかたくまぐす、1867~1941)の偉業をたたえ、民俗学や博物学といった分野で業績のある研究者に贈られる南方熊楠賞(和歌山県田辺市、南方熊楠顕彰会主催)。第32回の受賞者に選ばれた東京家政学院大名誉教授の江原絢子さん(78)は、調理という観点から日本の食文化を探求してきた。

 熊楠の研究対象だった民俗学的分野と博物学的分野の研究者を対象に、人文部門、自然科学部門から毎年交互に選考。今年は人文部門だった。

 江原さんは島根県生まれ。お茶の水女子大家政学部で食物学を学び、高校教諭を経て、東京家政学院大などで長く教壇に立ち、同大家政学部長も務めた。

 選考委員会の赤坂憲雄委員長(学習院大教授)によると、江原さんの研究は、「近世および近代の料理本に記載された料理の再現」「それらの記載内容と実生活における料理との関係を確認するため、江戸時代の名家の料理や全国各地の郷土料理の調査」の二つの方法論から成り立っていて、日本料理研究の基盤になっているという。

 さらに、学会活動を先導し、地方、女性、次世代の研究者養成に大きく寄与している点も評価された。

 江原さんは受賞に対するコメントで、「江戸時代の本草書や料理書などに出会い、それに魅せられて江戸時代・近代を中心とした食の文化が研究の中心となりました」とし、料理書を調査し、その再現を重ねてみることで、「各料理を工夫した人々の声がきこえてくる気がします」。さらに、各地を訪ねて人々の暮らしに接することで、「自然を観察しながら、生きる知恵と技術を身につけ、それを次世代に伝えようとした各時代の人々の姿が見えるように感じます」と記した。

 授賞式は5月14日午後1時半から紀南文化会館(田辺市新屋敷町)小ホールであり、江原さんが「自然を尊重するなかで育まれた日本の食」というテーマで記念講演する。定員100人。無料。申し込みは南方熊楠顕彰会事務局(0739・26・9909)へ。(勝部真一)