「高校野球とは何でしょう」 京大教授の会長、選抜大会で問いかけた
「みなさん、高校野球とはなんでしょうか」
19日に開幕した第94回選抜高校野球大会の開会式。グラウンドに整列する6校の選手たちに、宝馨(かおる)・日本高校野球連盟会長(65)は問いかけた。
「以前、日本高野連の会長を務められた佐伯達夫さんはこのように言っています」と、こんな言葉を紹介した。
「無心の球を、無我の境地で追い続けることこそ、高校野球の命である」
宝さんは壇上で投げるしぐさや打つポーズをまじえながら、この言葉に込められている佐伯氏の思いを説明した。
「投手は打者を打ち取るために工夫して投げ込む。打者はその球を打ち返して何とか得点を挙げようと努めます。自分がいい格好をしようという気持ちはないはずです。チームの勝利のため、無心で投げて打つ。それが無心の球であります」
昨年12月に第8代会長に就任した宝さんにとっては、甲子園大会の審判委員長として、選手に激励の言葉を贈る初めての機会となった。
そこで用意したエピソードが、第3代会長で「高校野球の父」と呼ばれる佐伯氏の言葉だったところに、新会長らしさがうかがえた。
宝さんは兵庫・西宮北高―京大で野球に打ち込んだ。卒業後は地球上の水の循環を研究する水文(すいもん)学の研究者になり、京大の教授を務める傍ら、野球部の監督や部長、審判を務めた。
京大野球部は旧制・第三高等学校時代の卒業生が、全国中等学校優勝野球大会(現在の全国高校野球選手権大会)の創設に関わっている。日本高野連の第2代会長を務めた中沢良夫氏もその1人だ。
宝さんはそのあたりの歴史に詳しく、京大野球部が創部120周年を迎えた2018年には記念誌の編纂(へんさん)にも携わっている。
「無心の球を、無我の境地で追い続けることこそ、高校野球の命である――。この言葉をいま一度思い起こしながら、日々の練習に励んで下さい。そして、試合に臨んで下さい。みなさんのはつらつとしたプレーを期待しています」
球児たちの熱戦がスタートした。(編集委員・安藤嘉浩)