困窮する開拓団救ったゴルフブーム 豊かさもたらした芝、一大産地に
鹿野幹男
茨城が芝の日本一の産地だということは、意外と知られていない。
2018年の農林水産省の調査によると、茨城県内の芝の作付面積は約3100ヘクタール。全国の約6割を占め、都道府県別では1位。つくば市によると、その大半は市内の芝畑で生産されたものだという。
筑波山を望む平原に、じゅうたんのような芝畑が広がっている。
暖かい陽気に包まれた2月末、生産者の松田克彦さん(68)が、従業員と一緒に芝を収穫していた。
機械で切り取った芝の束を手分けしてトラックへと運ぶ。年間を通じて収穫できるが、ピークは春だ。「筑波山を眺めながら仕事するのは気持ちいい」と笑顔を浮かべた。
市内外の約30社が加入するつくば芝生事業協同組合の理事長を務める松田さんは、約100ヘクタールの畑で約10種類の芝を育てる。家庭用の芝を扱うホームセンター、公園、ゴルフ場、堤防ののり面……。芝の販売先や用途は幅広く、東北地方や中部地方など県外の業者とも取引がある。
なぜ、つくばで芝の生産が盛んなのか。松田さんは、ルーツは戦後の開拓の歴史にさかのぼると教えてくれた。
当時を知る松本良吉さん(9…