2017年秋、静岡市。静岡県職員の池田正樹さん(52)は、焦りに焦っていた。
その日、近所の商業施設に買い物に来ていた。そこで60代とみられる男性が倒れている現場に遭遇した。
男性に呼びかけるが、反応はない。手首を握っても、脈はほとんどない。
当時、県庁で危機管理分野の業務に就いていた。自動体外式除細動器(AED)の使い方を習う講習は十分受けていた。
施設の店員に頼んでAEDを持ってきてもらった。
AEDは通常、箱を開けると電源が入る。講習でそう習った。池田さんは急いで開けた。
だが、AEDは反応しない。電源が入らなかった。
「自分の使い方がわるいのだろうか。電源スイッチを見逃しているのか」。そんな考えが頭の中をめぐった。不安が募った。
記事の後半では、街中に設置されるAEDとともに、救急車に搭載されているAEDをめぐるトラブルについても紹介します。
だが、違った…