二回降板のクラーク国際エース ライバルの好投に「夏は自分が」
選抜初出場のクラーク国際は、19日の第3試合、九州国際大付(福岡)に延長十回の末、2―3でサヨナラ負けを喫した。昨年11月の明治神宮大会で1―5で敗れている相手に、雪辱こそ果たせなかったが、投手を中心に粘り強く戦い、緊迫した好ゲームを見せた。
「何もできず、ふがいなかった」。試合後、山中麟翔投手は悔しさをにじませた。エースナンバーの1番を背負って先発したが、二回途中で降板した。
4番打者として、打撃では勝負強さを見せていた。
一回表、二塁に走者を置いた好機にフェンス直撃の中越え適時打を放った。二塁へ走り込むと、高く左手を振り上げてほえた。「チームに流れを持ってくる打撃ができてよかった」。待望の先取点を自らのバットでもたらした。「緊張はしなかった。とてもわくわくしていた」
しかし、投球では持ち味の制球力を発揮できなかった。雨でぬかるんだマウンドに足を取られ、制球難を修正できなかった。連続四球を与えたところで、辻田旭輝投手に後を託した。
辻田投手との左右二枚看板で、北海道を制する立役者となった。秋季大会では7試合、計36回を投げ4失点。防御率1・00の好成績を収めた。強みは冷静さ。ピンチでも表情が変わらない。佐々木啓司監督からも「度胸がある。大胆で繊細な投球で仲間を助ける」と高く評価されてきた。
九州国際大付は昨年11月の明治神宮大会で敗れた因縁の相手。両投手は「リベンジしたいよな」と組み合わせが決まる前から再戦を望んでいた。
辻田投手は仲間であり、ライバルだ。「背番号1は譲りたくない。チームの顔だから」。切磋琢磨(せっさたくま)しながらやってきた。この日は、そのライバルに助けられた。「頼んだぞ。しっかり抑えてくれ」。交代の時にかけた言葉通り、辻田投手は圧巻の投球を見せた。
「夏、悔しさを晴らすために必ず帰ってきたい」。甲子園未勝利のチームに初白星をつけるのは自分でありたいと、甲子園への再来を誓った。(川村さくら)
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