愛知県、防災拠点づくり着々 海抜ゼロメートル地帯や名古屋空港周辺

床並浩一
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 南海トラフ巨大地震の発生で沿岸部を中心に浸水被害が想定されるなか、愛知県内の海抜ゼロメートル地帯で被災者を救助する活動の拠点づくりが進んでいる。9月に完成予定の愛西市内を皮切りに、4カ所に設置される。豊山町県営名古屋空港周辺では、中京圏も活動範囲に含めた広域拠点の整備に向けた動きが本格化する。

 愛西、西尾、弥富、豊橋の各市にできる広域防災活動拠点は県が整備している。地震に伴う津波や液状化による河川堤防の決壊により浸水した地域で、逃げ遅れた被災者を救助するためだ。浸水しないように盛り土でかさ上げした用地に、救助用のヘリコプターの離着陸場やボートの船着き場を設置。救助用の資機材や飲食料を保管する防災倉庫を建設する。

 県によると、愛西市大井町の拠点整備では、すでに約1万3千平方メートルの敷地でかさ上げする造成工事を終え、2022年度に防災倉庫を建てる予定だ。約3メートルの高さにかさ上げするための盛り土にはリニア中央新幹線の工事で発生した残土の一部約2万5千立方メートルを使った。

 同じ海部地域(木曽三川下流域)にある弥富市鳥ケ池町では、「海南こどもの国」に広域拠点を築く予定だ。完成時期は未定だが、22年度に整備に必要な実施設計を始める方針だ。

 24年の供用開始をめざして西尾市行用町に整備する防災拠点では、22年度に敷地の造成工事や防災倉庫の設計を始める。

 豊橋市内の整備予定地は未定。三河湾岸で適地を絞り込む作業を進めている。

 今後30年間に70~80%の確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震で、県の被害想定では最悪の場合、死者数は約2万9千人にものぼると予想されている。

 そのうち津波や浸水による犠牲者は約1万3千人で、ハード、ソフトの両面から減災対策が進められている。1カ所目となる愛西市の拠点づくりは、実施設計着手から5年で完成にこぎ着ける。担当者は「災害は待ってくれない。今後も整備に努める」と話す。

 名古屋空港北西部に隣接する豊山町青山地区では、県内の防災拠点を広くカバーする基幹的広域防災拠点の整備計画が動き出す。整備予定地は約19・2ヘクタール。全国の警察・消防や自衛隊など支援部隊や支援物資の受け入れも想定している。事業費は350億円。県内だけでなく、岐阜県三重県など中京圏で被災した地域も支援する基幹的な拠点に位置づけ、25年度の完成を目標に掲げる。

 県は21年度、整備予定地の地権者らに向けた説明会を開催済み。22年度からは補償額を定めるため、土地の測量や土地建物の評価を進めていく。合意した地権者と個別に売買契約を交わし、土地の造成工事に入る意向だ。(床並浩一)