そこだけ「昭和」、逆に新鮮なゴージャス喫茶 不動のフルーツポンチ
和歌山県紀の川市の国道24号を運転しているときに目に入り、気になっていた店がある。洋館風の白い建物に、カタカナで「サンスイ」の大きな看板。私は平成生まれで昭和を知らないが、住宅やコンビニが並ぶ国道沿いで、そこだけがイメージ通りの「昭和」なのだ。
店に入ると、高い天井にシャンデリアがぶら下がり、どっしりとした花柄のソファが並ぶ。店がオープンしたのは1979年(昭和54年)。ゴージャスだが、すべてに年季があって、居心地のいい「古めかしさ」になっている。
人気メニューの一つという「フルーツポンチ」(税込み700円)を食べた。緑色のメロンソーダの上に、色とりどりのフルーツがこんもり。フルーツの甘さを楽しんだあとのソーダの炭酸がすっきりおいしい。
オープン当時、国道24号は市内の絶対的な幹線道路だった。店は大盛況で、周囲に喫茶店が立ち並んだ。だが周りの道が整備され、京奈和道ができ、車は減った。周りの店はどんどん閉店し、苦しい時期が続いた。
ここ数年は、「古めかしさ」が逆に新鮮だとメディアやSNSで取り上げられ、喫茶店好きの人が県外から訪れる。年配の常連客がモーニングに集まり、憩いの場にもなっている。
ソファもシャンデリアもフルーツポンチもオープン時から変わらない。値段も、オーナーの笹田稔美(なるみ)さん(76)が「店があるのはお客さまのおかげ」と、できるだけ上げずにきた。43年前に350円だったコーヒーはいま400円(税込み)だ。
高速道路にインターネット…
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【視点】90年代後半にスタバがオープンして行列ができた時は、なぜ並んでコーヒーを飲まなければならないのかと衝撃を受けました。昭和50年生まれの僕からすれば、喫茶店にそれなりに馴染みがあり、雑誌、新聞、あるいは、漫画などを読んでゆっくりするところとい