「ロシアも困ってる…」「承服できぬ」 北方領土、元島民らの思いは

ウクライナ情勢

大野正美、松尾一郎、中野龍三
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 ロシア外務省北方領土問題を含む日本との平和条約交渉を継続しない考えを明らかにしたことについて、早期の北方領土返還を求める北海道の元島民らには憤りや落胆が広がった。

 四島の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の根室支部長代行の角鹿泰司さん(84)は、歯舞群島のひとつ勇留(ゆり)島出身。ロシアのウクライナ侵攻を批判したうえで「戦火がやんで情勢が正常化し、とにかく1日でも早く元島民が再び島を訪れる日がきてほしい」と話す。

 旧ソ連軍による四島占領時に1万7291人いた元島民は今年2月現在、5492人。平均年齢は86・6歳と高齢化が進む。

 道によると、1992年に始まったビザなし交流は、2019年度までに日本側から延べ1万4356人が四島を訪問した。ロシア人の受け入れは延べ1万132人に上る。1999年開始の元島民の自由訪問は、19年度までに延べ5231人を数えるなど、元島民たちに定着してきた。ただ、コロナ禍で20年度以降は交流は中断されている。

 今回の声明では、四島へのビザなし交流や自由訪問について永続的な「打ち切り」か一時的な「停止」かはっきりしていない。今回、北方墓参は停止の対象になっていないとされることから、角鹿さんは「状況によっては、再開に含みを持たせているともいえる。ロシアも制裁などで、困っているのではないか」と望みをつなぐ。

 千島連盟の宮川秀明専務理事はロシアの対応に「承服できるものではない」と反発する。それでも「交流事業でもない限り、四島にはなかなか行けない。両政府が努力してほしい」と交流の再開を求めた。

 北海道の鈴木直道知事は22日の道議会答弁で「交流に努めてきた両国住民の思いや努力をも損なうものであり、極めて不当で断じて受け入れられない」と強い不快感を表明。国にロシアへ抗議するよう働きかける考えを明らかにした。(大野正美、松尾一郎、中野龍三)