住宅地、商業地とも上昇 浦和、大宮の上昇が顕著 埼玉の公示地価

上田雅文
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 国土交通省が公表した2022年の公示地価(1月1日時点)によると、埼玉県内の住宅地と商業地の価格は上昇に転じた。新型コロナウイルスの影響で前年はマイナスだったが、需要は底堅く、1年で盛り返した。工業地の平均変動率も倉庫などの物流用の需要が堅調で、前年に比べ1・5倍に上がった。

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 公示地価は1平方メートルあたりの価格で、土地取引などの指標とされる。県内では1301地点を調査した。 用途別の平均でみると、住宅地は0・5%、商業地は0・2%、工業地は2・4%、それぞれ上昇した。

 市区町村別の平均変動率では、さいたま市浦和区が住宅地で2・8%上昇し、商業地も1・9%上がるなど、いずれも県内で最大の伸び率だった。文教エリアとされる同区の住宅は、子育て世代を中心に人気が高く、リモートワークの広がりも追い風になった模様だ。コロナ禍で事務所や飲食店の撤退はあるが、駅の近くで利便性の高い高層マンションの建設が相次ぎ、商業地も堅調だった。

 住宅地では、さいたま市のほかにも、和光市戸田市、朝霞市など、東京へのアクセスがいい市の上昇が目立った。

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 より細かな地点別でみると、住宅地の上昇率1位はさいたま市緑区美園5丁目。埼玉高速鉄道(SR)の浦和美園駅から約1キロの地点で、5・0%上がって1平方メートルあたり20万9千円だった。同地点が調査地点に選ばれた2017年は同17万6千円で、5年間で2割近く上昇した。

 地価を調査した不動産鑑定士の三田和巳氏は「それでも浦和や大宮の駅近よりは価格が手ごろ。今後の開発でさらに値上がりする可能性がある」と指摘。「SRの運賃が下がったり岩槻まで延伸したりと地域交通の魅力が増せば、まだ人気は上がる」とみている。

 市によると、田園地帯だった美園地区は02年のサッカーワールドカップ開催をきっかけに埼玉スタジアムと駅が整備され、周辺約320ヘクタールで土地区画整理事業が始まった。駅近くに大型商業施設ができて、開発当初約1万3千人だった地区の人口は、今年1月には2倍以上の約2万9千人に増えた。

 今回、上昇率の上位10地点のうち9地点をさいたま市内が占めた。JR浦和駅から約700メートルの同市浦和区岸町3丁目の地点と、JR武蔵浦和駅の約600メートルの同市南区沼影1丁目の地点がそれぞれ4・1%。大宮駅から約600メートルの同市中央区上落合9丁目は3・6%上がった。

 総務省が1月に公表した21年の人口移動報告で、さいたま市の転入超過は1万527人。市町村別で初めて全国1位になった。0~14歳の転入超過(1683人)は7年連続で全国最多だった。

 不動産情報サイト「スーモ」を運営するリクルートが今月発表した「住みたい街(駅)ランキング首都圏版」からも県内の地価上昇の傾向がうかがえる。

 県内の街(駅)では大宮が3位(前年4位)、浦和が5位(同8位)で、東京の新宿や品川といった「全国区」を抑えて上位に入った。武蔵浦和は57位(同63位)、南浦和も78位(同124位)と順位を上げた。

 一方、県内の商業地の上昇率トップは、大宮駅東口のさいたま市大宮区仲町1丁目で3・4%。大規模な駅前再開発地区の付近で、3位にも近くの同仲町2丁目(2・7%)が入った。

 工業地は川口市領家5丁目の4・7%を筆頭に、三郷市や戸田市、八潮市など外環道や首都高沿いの地点の上昇が顕著だった。ネット通販の利用が伸び、倉庫など物流用の開発が目立つ。(上田雅文)