天理エース南沢、ドラ1先輩の背中追って 「信頼される投手になる」

浅田朋範
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 第94回選抜高校野球大会は大会第4日の22日、1回戦3試合があり、昨年4強の天理(奈良)は延長十一回の熱戦の末、星稜(石川)に4―5で敗れた。2点を追う天理は八回裏、無死二、三塁から重舛の二塁打で追いつく。延長十回裏にも、2死一、二塁から内藤が左前へはじき返して再び同点。十一回に守りの乱れから2点を失う。その裏にも1点を返す粘りを見せたが、届かなかった。エース南沢は持ち前の打たせて取る投球で投げきった。

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 実力校同士の熱戦は終盤勝負になった。どんなピンチでも、天理のエース南沢佑音(3年)は笑っていた。それはドラフト1位で日本ハムに入った先輩、達孝太さんと同じだった。

 0―1の六回表、1死三塁の窮地は捕手の山村侑大(同)がスクイズを読み切り、南沢が外す。2死無走者となると、相手の5番を空振り三振に仕留めた。七回表は2死二塁で打席に相手エースのマーガード真偉輝キアン(同)。絶対打たせたくない相手を外角いっぱいの直球で見逃し三振に打ち取った。

 星稜との選抜での対戦は30年ぶり2度目。そのとき一気に逆転したのと同じ八回裏に追いついた。十一回表にもスクイズを外し、喜んだあとの2死一、三塁。星稜の仕掛けた走塁のサインプレーでミスを誘発され、2点を失う。その裏の反撃も1点足りなかった。

 達さんよりは小さいが、身長188センチの大型投手。先輩のように上から投げ下ろすフォームで球速を追ってきた。しかし、エースを引き継いで迎えた昨秋の県予選準決勝で大敗。中村良二監督のアドバイスを受け入れ、中学時代のように少し右腕を下げて放るようにした。制球がよくなり、甲子園にたどり着けた。

 宝物がある。昨年12月に達さんがくれた手書きのルーズリーフ。日々の食事からエースとしての心の持ちようまで、10枚以上にわたって助言が書かれている。

 負けたあと、南沢は言った。「野手に信頼されるピッチャーになって帰ってきたい」。達さんの背中を追って、最後の夏へ向かう。(浅田朋範)