野党は「政府の批判ばかり」と批判され、デモに参加する人は「意識高い系」などと揶揄(やゆ)される――。日本ではいま、権力を批判し、物申すことが忌避されてはいないか。なぜだろう?
「番犬」が「ポチ」になっていないか コメディアン・松元ヒロさん
政権を批判するコメディーを演じたり、日本国憲法を人に見立てた「憲法くん」の芝居で護憲を訴えたりしています。公演の場は、舞台や市民による催しで、テレビ局からは、ほとんど声がかかりません。「偏向している」という視聴者やスポンサーの批判を恐れてのことでしょうか。
かつてはテレビの世界にいて、1985年に日本テレビ「お笑いスター誕生」で優勝しました。でもその3年後、「世の中、何かおかしい」と感じるようになりました。
昭和天皇の病状が悪化し、自粛ムードが高まった頃です。テレビだけでなく、会社の忘年会の余興などの仕事も次々にキャンセルされました。理由は「ご時世ですから」という一言でした。
「政府の批判ばかり」と批判される野党。コメディアンの松元ヒロさんは、それは政権が仕掛けた「わな」ではないかと語ります。記事後半では、富永京子さんと両角達平さんが、声を上げることを避けようとする日本の社会について分析します。
日本で大事なのは、「空気を…
- 【視点】
冒頭の「野党は政府の批判ばかりと批判され」というところについて、そもそも論をひとつ。民主主義国家のあり方としてよく三権分立と言われますが、日本では国会全体が政府(内閣)のチェック役を果たしているとは言いがたい面があります。国会で過半数を占め