市和歌山は野球がうまい お手本のような左腕攻略 高嶋仁の目

前・智弁和歌山監督
[PR]

(23日、第94回選抜高等学校野球大会1回戦、花巻東4-5市和歌山)

 市和歌山が理想通りの試合運びをしましたね。

 米田天翼(つばさ)投手は立ち上がりから球が上ずっていましたが、花巻東の3番・佐々木麟太郎選手を打席に迎えてギアが上がったように思います。140キロを超える直球を、実にいい高さに決めました。内角の厳しいコースを突く勇気も素晴らしかった。

 佐々木選手を空振り三振に打ち取ると、4番の好打者、田代旭選手も空振り三振。小沢修選手にはタイムリーを許しましたが、一回無死一、二塁のピンチを、1点でしのいだのが大きかったです。

 攻撃陣は左投手攻略のお手本のような打撃をしました。二回、4番の寺田椋太郎選手が球を引きつけて右翼線に三塁打。田嶋優汰選手の右犠飛も同じです。

 3点を勝ち越した三回は、小技も光りました。無死一塁からバント安打、送りバントで1死二、三塁。堀畑樹選手がバントの構えから素早くバットを引いてバッテリーのミス(暴投)を誘いました。

 こういう野球も市和歌山はうまいんです。

 そのあとの打撃も見事でした。各打者が大振りせず、コンパクトに球をとらえました。

 対照的に花巻東はスイングが大きいのが気になりました。思い切りバットを振ることは大切なことです。その一方で、相手投手のタイプや状況に応じた対応力も必要です。

 市和歌山の米田投手は、ストレートに力があり、制球力もいい好投手です。例えば佐々木選手なら、目線を下げて、高めのボールは振らないぐらいの意識付けが必要だったんやないでしょうか。ボール気味の球をずっと振っていました。ぼくには、気持ちが先走ってしまっているように見えました。ボールを見て打つという基本に立ち返っていたら、豪快な一発もきっと見られたと思います。

 裏を返せば、それだけ市和歌山が攻守に素晴らしい野球をしたということです。和歌山勢は和歌山東に続く初戦突破。昨年夏から甲子園で負けていません。

 和歌山県民としては、うれしい限りです。ライバルが強くなれば、智弁和歌山も強くなります。2回戦も楽しみにしております。(前・智弁和歌山監督)