高齢者が大学生に学資融資 椙山女学園大生の提案が優秀賞 愛知

鈴木裕
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 大学生の学資に高齢者が投資する「教育投資信託」。椙山女学園大学の学生3人が考えた提案が、金融経済分野の小論文・プレゼンテーションのコンテスト「日銀グランプリ」で優秀賞に輝いた。コロナ禍でアルバイトが減り、学資の確保に苦しむ大学生と、安全で社会貢献になる資金運用を求める高齢者をつなごうというものだ。

 提案したのは、いずれも現代マネジメント学部3年の古橋実可子さん、永田千夏さん、森田早紀さん。水野英雄准教授(国際経済)のゼミ生だ。既存の教育ローン奨学金制度の課題を調べ、クラウドファンディングを参考にして投資や運用の方法をまとめた。

 「教育投資信託(EIT)による老後資金の運用で世代間の交流を図る」提案は、老後資金の安全な投資先を求めている高齢者向けの金融商品として資金を集め、低金利(2~3%を想定)の教育ローンとして大学生本人に融資することで運用を図る仕組みだ。

 「コロナ禍でキャンパスになかなか行けないのに、年間100万円以上の学費を負担しなければいけない。アルバイトが減り学資が続かず、退学する学生もいる。その解決策として、高齢者に学資を投資してもらう世代間交流を思いついた」と古橋さんは話す。

 大学生は、社会人になったら返済義務を負う教育ローンだと自覚でき、将来設計が立てやすくなる。借りる金額が自由に設定できるほか、万が一の場合に備えて信用保証システムも導入する。成績による厳しい審査を設け、意欲が高い学生に学資が届くようにする。

 一方、高齢者は、預貯金よりも有利な運用が可能になり、低リスクで社会貢献になる投資先を確保できる。大学ごとや女子教育振興などのテーマで教育投資信託を設定することで、母校の支援や課題解決に取り組める。運用益を非課税にする制度導入も提案した。

 高齢者だけでなく企業から投資として資金を集めるアイデアや、SDGsの課題解決につながることもアピール。さらに大学生の金融・経済教育も重視した。

 永田さんは「私自身クレジットカードをつくったときに失敗した経験があり、身近な金融・経済の知識が乏しいことに気づいた。学生自身が借りて返済義務を負う教育投資信託は、金融の実物教育にもつながり、将来の経済設計をするきっかけになるはず」という。

 水野准教授は「今の奨学金は実質的には教育ローン。返済しなければいけないのに、その認識が十分でない大学生が多い。高校では教えてくれないし、実践的な金融教育の場がないという問題意識が出発点になった」と振り返る。

 教育投資信託の提案は、日銀グランプリに参加した全国122チームの中から上位5チームに残り、昨年11月に日銀本店(東京)であった決勝でプレゼンした結果、優秀賞に選ばれた。

 森田さんは「ほかの大学の過去の発表を分析し、わかりやすく説得力があるプレゼンをめざした。教育投資信託の提案をまとめたことで、ニュースに出てくる経済や金融の言葉をきちんと理解できるようになり、興味が持てるようになった」と話した。(鈴木裕)