「危機の30年」 冷戦終結からロシアのウクライナ侵攻まで

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記者解説 編集委員 三浦俊章

 国境を突き破って進む戦車、砲撃で崩れる建物、逃げまどう人々――。

 ロシア軍のウクライナ侵攻を伝える映像には、目を疑う。第2次世界大戦後に長く続いていた欧州の平和は崩れた。20世紀の悲劇の再現ではないか。

 政治と外交を取材してきた過去30年を振り返ると、行き先不明のジェットコースターに乗り続けてきたような気がする。

 1989年にベルリンの壁が崩壊した後に東ドイツに入った。歓喜と未来への楽観があふれていた。西側は冷戦の「勝利」に酔い、市場経済と民主主義が世界を覆うと信じた。しかし、グローバル化は貧富の差を広げ、国家間対立は深まり、専制主義とポピュリズムが台頭した。そのあげくのウクライナ侵攻である。プーチン大統領は核の使用をちらつかせる。米ロの全面対決になりかねない。

 20世紀には二つの世界大戦があった。両者の間はわずか20年。当初は平和な世界をつくろうと理想主義が盛り上がったが、経済恐慌を機に暗転、破局へと落ちていった。この時代は歴史家E・H・カーの名著にちなんで「危機の20年」と呼ばれる。我々もまた、冷戦終結以来の歩みを「危機の30年」としてとらえ直す必要がある。

 戦争を引き起こしたのは、異形のプーチン独裁である。だが過去の大戦争がそうであったように、危機の要因は複合的だ。勝者の傲慢(ごうまん)、敗者の怨念、指導者の誤算など、様々な要素が重なった。

3つの「10年」 深まった危機

 今日に至る「危機の30年」…

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