福岡伸一さんが思う「おさぼり先生」の公平さ 新・ドリトル物語完結

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 1年にわたり本紙で連載した「福岡伸一の新・ドリトル先生物語 ドリトル先生ガラパゴスを救う」がついに完結しました。執筆を終えたいま、福岡さんが考えることとは。この物語を書きたい、と思った原点を振り返ります。

連載を終えて

 

 ドリトル先生は、Dr. Dolittle。原書では、ほとんど何もしない博士、という意味である。さしずめ、おさぼり先生といったところ。これに、“ドリトル”というコミカルな響きの訳をあてたのは、作家の井伏鱒二の功績である。これで物語の世界観が決まった。ドリトル先生のちょっと脱力系の雰囲気や、何事にも動じない淡々とした佇(たたず)まいは、井伏訳の、端正ながらもユーモラスな名調子によるところが大きい。私も、小学生の頃、井伏訳岩波版『ドリトル先生航海記』に出会って、たちまち引き込まれた。

 ドリトル先生の物語は、日本…

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