ひきこもり支援業者に賠償命令 手足押さえて連れ出し、地下室で監視

高橋淳
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 ひきこもり支援をうたう業者に自宅から無理やり連れ出され、監禁されたとして、神奈川県の30代男性が業者側に約550万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、慰謝料など110万円の支払いを命じる判決を言い渡した。伊藤繁裁判長は「突然数人の男に連れ去られ、多大な精神的苦痛を受けた」と述べた。

 判決などによると、男性の両親は2016年、同居する無職の男性の将来を案じ、業者に相談。18年4月に男性の就職を支援するという契約を業者と結び、約700万円を支払った。

 業者側は同年5月、男性の部屋を訪れ、抵抗する男性の両側から腕をつかんで車に連れ込み、移動中も男性の腕と足を押さえていた。到着した施設でも男性を地下室で監視し、「万一逃走した場合は連れ戻される」などと告げた。

 判決は男性を連れ出し、施設で監視した業者側の対応について、「移動の自由を侵害した」として不法行為責任を認めた。

 業者側は「(精神科病院で)医療保護入院の必要性が判断されるまでの保護行為だった」などと主張したが、判決は「業者は病院ではなく、職員は入院を判断できる医師でもない。ただちに病院に連れていってもいない」として退けた。

 賠償を命じられたのは、ひきこもり支援施設「あけぼのばし自立研修センター」を運営していた「クリアアンサー」(東京都新宿区、19年に破産)。係争中に破産し、破産管財人が訴訟を引き継いでいた。

 男性の弁護団は「いくら親の了解があっても、本人の同意がない連れ出しが重大な人権侵害だと判決は明確にした。同種の業者はほかにもあり、排除するための規制立法が必要だ」と話した。(高橋淳)