金光大阪、忘れられないグラウンド整備 押し出し直前に思わず涙した

松永和彦
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 大会第7日の25日、金光大阪は延長タイブレークの末に逆転サヨナラ勝ちし、ベスト8に進出した。1点を争う投手戦が繰り広げられ、4―3で木更津総合(千葉)を破った。次戦は昨秋の近畿大会準々決勝でも対戦した近江(滋賀)と、第9日の27日に対戦する予定だ。

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 2点を追う延長タイブレークの十三回裏、1点を返した。なおも2死満塁で、打席に入る佐々木駿弥君(2年)は、ある日の練習のことを思いだし、目に涙を浮かべていた。

 前日に雨が降り、グラウンドは使えないなと思って練習に出ると、試合に出ていない先輩たちがすでにグラウンド整備をしてくれていた。

 佐々木君の様子をみて、岸本紘一主将(3年)は駆け寄り、「落ち着いて、自信を持っていけ」と声を掛けた。

 佐々木君は「あのまま打席に入っていたら、ボール球を振っていたと思う。本当に助かった」。四球を選び、同点に追いついた。

 サヨナラのチャンスで福冨龍之介君(2年)に回ってきた。「何でもいいから三塁走者を返してやる」という気持ちで入った。追い込まれてから、背中に死球を受けて、押し出しのサヨナラ勝ち。「痛いというより、逆転で勝てたことがうれしい」。福冨君も佐々木君と同様、先輩たちのグラウンド整備を覚えていた。だから、「絶対恩返しをしよう」と決めていた。

 横井一裕監督が試合後、「僕の想像を超えるファインプレーだった」と岡治尚希君(2年)を評したのは十二回表の守りだ。

 失策で走者を出すと、犠打で1死二塁のピンチに。岡治君は八回裏の代打から出場し、左翼の守備に入っていた。その岡治君の元に頭上を越えるようなライナー性の打球が飛ぶ。ジャンプしてグラブの先で捕球した。その後もピンチは続き、2死一、二塁。またもや岡治君の元へ大飛球。今度は背走しながらぎりぎりで捕球した。球場がどっとわいた。

 横井監督は「あのプレーで選手たちがすごく明るくなった」と話した。(松永和彦)

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