第70回コロナ禍が復活させた国家の「独りよがり」 ウクライナ情勢にも影

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・西本秀
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 ロシアがウクライナを侵攻する約2年前から世界は新型コロナウイルスの大流行に見舞われ、各国は対応に追われてきました。無関係に思える二つの出来事ですが、東京都立大の詫摩佳代教授(国際政治学)は、コロナ禍がもたらした国際社会の変化が、ウクライナ情勢にも影を落としていると言います。「コロナとウクライナ」はどうつながっているのか。話を聞きました。

詫摩佳代(たくま・かよ) 東京都立大学法学政治学研究科教授。東京大学東洋文化研究所助教などを経て現職。専門はグローバル・ヘルス・ガバナンスと国際政治。2020年に「人類と病」(中公新書)でサントリー学芸賞受賞。

 ――コロナ禍の前と後で、国際社会のあり方はどのように変わったのでしょうか。

 国際社会にはもともと、各国を従わせる強制力のあるルールはありません。第2次世界大戦後、国際連合などが設立され、各国の自発的な協力のもとで国際法などの規範がある程度、機能してきましたが、その秩序は、国際機関に対する信頼や、米国をはじめとする先進国のリーダーシップがあってこそ、維持されてきたものです。

 保健衛生の分野でも、国連傘下に世界保健機関(WHO)が設立され、先進国の関与のもと、開発途上国をはじめとする世界の保健衛生や医療の向上が進みました。感染症の天然痘は撲滅され、ポリオも抑え込まれ、エイズも一定のコントロールがされています。WHO憲章には、「世界中すべての人々が健康であることは、平和と安全を達成するための基礎である」とうたわれています。そうした理念を、各国が自発的に支えた成果だと言えます。

 ――そうした協調関係が、コロナ禍で変わってしまったということですか?

 変化の兆しはコロナ前からありましたが、規範を基盤とした協調よりも、各国の独りよがりな行動が前面に出てくるようになりました。

 先進国はワクチンを自前で確…

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