19歳ひとり暮らしが始まった日 母の贈り物に笑い、泣きじゃくった

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若松真平
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 古本が大好きな1児の母、カラサキ・アユミさん。

 自宅には、彼女のためだけに手作りされた「宝物」が大切にしまってある。

 今から十数年前に母から受け取ったものだ。

 毎年春が来ると、あの日を振り返って笑い、思い出をかみしめている。

     ◇

 大学進学を機に、19歳でひとり暮らしを始めた日のこと。

 下宿先への引っ越し作業を終え、初めての土地、慣れない下宿に不安な気持ちだったのを覚えている。

 そのことを悟られないようにしながら、手伝いに来ていた母を玄関先で見送った。

 すると母が「これ、あげる」と言って、何かを手渡してきた。

 「電車の時間があるから行くね。また電話するからね」

 そう言って去っていく母に、何度も何度も手を振って別れた。

 さっきくれたのは、何だったんだろう?

 そう思いながら、静かになったひとりきりの部屋に体操座りをして、手渡されたものを確認してみた。

 タイトルも何も書かれていな…

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