トヨタのたこが創業家ゆかりの空に 発電に向け実演

大平要
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 27日、親子たこあげ大会が開かれた湖西運動公園(静岡県湖西市)の空に、ひときわ大きなたこ(カイト)が舞った。カイトを作り、あげたのは、トヨタ自動車の社員たち。脱炭素社会を目指す研究を進める「マザーシップグループ」のメンバーだ。

 カイトは幅7メートル、縦1メートル。風向きや強さが二転三転する難しい状況の中、はじめの2回は風に乗せられずに失敗。3度目の挑戦でようやく高さ100メートル近くまであがると、スタンドで実演を見守っていた子どもたちが拍手を送った。

 グループ長の板倉英二さん(57)は「初めての一般公開で緊張したが、荒れた風の中でもたこを安定させる技術を見せることができた」とほほえんだ。

 グループは2018年、トヨタが未来都市「ウーブン・シティ」の建設を進める静岡県裾野市の東富士研究所で立ち上がった。将来的には、世界で最も強い偏西風が吹くといわれる日本上空の成層圏近くまでカイトを飛ばし、風力発電することを目標にしている、壮大な研究だ。

 20年5月には高度1千メートルを達成した。板倉さんの目標は、25年には高さ5千メートルまで飛ばして気象観測などで実用化すること。1万メートルに超大型のカイトを浮かべて風力発電を行うのは、35年ごろを想定している。「飛行高度や滞在時間を延ばすため、素材の改良や制御技術の向上に取り組んでいる」と言う。

 湖西市での実演には特別な意味がある。同市はトヨタの源流企業を創業した、豊田佐吉の出身地だ。古くからたこあげが盛んで、子どものころの佐吉も、たこあげの名人だったと伝えられている。

 板倉さんは昨年4月、佐吉の生家周辺の地域に伝わるたこの話を聞いてまわり、市役所も訪れた。佐吉の思いをつなぐ地元の少年少女発明クラブが主催するたこあげ大会があると知り、ここでの実演を申し出た。板倉さんは「破天荒な発明王だった佐吉さんが見ていたら『何、アホなことやってるんだ。でもようやっているな』と褒めてくれるのでは。夢の実現に向けてもっと頑張りたい」。(大平要)