客引き、カジノから暴力団まで 硬軟両刀使いの「栄隊」とは

有料会員記事

[PR]

 派手な看板とネオンを掲げ、風俗店が軒を連ねる名古屋市中心部の歓楽街。その一角を2人の若い男性が歩いていた。

 スーツ姿で、さりげなく周囲に目を配っている。

 「お探しないですか」

 「1軒だけください。何でもいいんで」

 男たちが、次々に2人に声をかける。客引きのようだ。ほとんどは一言、二言で諦め、立ち去っていく。

 2人が東海地方最大の繁華街「錦三」地区に入ると、Tシャツに半ズボン姿の客引きの男が近づいてきた。しつこくつきまとい、声をかけている。

 進むこと数十歩。突然、スーツ姿の男性の1人が、男の右腕をつかんだ。のけぞるそぶりをみせる男の腰に手をかけ、壁際に追い込む。

 あっけにとられる男を取り押さえ、近くに待機している仲間を携帯電話で呼んだ。

 2人は愛知県警中署の「栄地区対策隊」の捜査員。男は県迷惑行為防止条例違反(客引き)の疑いで現行犯逮捕された。

私服に着替え、髪形変えて

 「栄隊」は20~30代の若手が中心だ。「出身」は刑事部や交通部などいろいろ。活動も様々だ。

 客引きの取り締まり以外にも、駐車車両の取り締まり、立て看板の撤去、地域住民と一緒にパトロールをすることもある。風俗店の摘発など、本格的な事件捜査も手がける。

 今年1月下旬には、客引きたちを萎縮させようと、あえて「警察」と書かれた黄色い腕章をつけて街を歩いた。

 ある捜査員は「ぼくらがいれば、客引きは活動できない。姿を見せることで、仕事をできなくさせる」と話した。

 逆に私服で取り締まることも。捜査員たちの顔を覚えている客引きやスカウトがいるため、着替えたり、髪形を変えたりする。

 顔見知りになった相手が話しかけてくると、雑談をしながら情報収集をする。取り調べなどで得た情報も合わせ、犯罪グループや暴力団の動静に気を配る。

 こうして張られたアンテナが、事件を掘り起こす。

 愛知県警は昨年10月、街で女性に声をかけ、風俗店などに紹介する「スカウト」の男らを職業安定法違反の疑いで逮捕した。このうち1人は、東海地方最大とされるスカウトグループの実質的代表だった。

 捜査のきっかけをつかんだのが栄隊だった。

 しつこい声かけで一般女性からの苦情が絶えないため、栄隊はスカウトたちの情報を集めていた。スカウトと思われる若者への声かけや、関連会社への内偵などで、グループの人間関係や資金の流れを明らかにした。

 新型コロナウイルス対策の協力金不正受給をめぐる事件でも、端緒をつかんだ。

多くの人が訪れる歓楽街では、さまざまな犯罪が起こります。記事後半では、あの手この手で取り締まりに取り組んできた「栄隊」の活動を紹介します。

 2020年6月、休業要請に…

この記事は有料会員記事です。残り3025文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら