3D印刷のうまい肉「大阪万博で味わって」 実食めざし阪大など連携

竹野内崇宏
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 3Dプリンターを使って再現したおいしい培養肉を、大阪・関西万博の会場で提供したい――。大阪大学などが28日、そんな目標を明らかにした。課題となるのは、量産技術と第三者への提供に対する制度の壁。来場者に味わってもらえるよう、今後、大阪府とも協議を進める。

 培養肉は家畜から取り出した少量の細胞を増やしてつくる。牛だと、生育から精肉まで数年かかるが、培養肉なら10グラムの肉を1キロに増やすまで数週間程度。食料問題の解決や、家畜の増加に伴う環境負荷を減らすことも期待されている。

 阪大の松崎典弥教授(高分子化学)のチームは、牛肉から増やした筋肉や脂肪の細胞を3Dプリンターで繊維状に加工。この繊維を束ねることで、筋肉と脂肪がまじった「サシ」まで再現した培養肉を作成できたと昨年、国際科学誌に発表していた。従来の培養肉の欠点だった「かみごたえ」の解決に近づいた。

 ただ、繊維を金太郎アメのように束ねる工程は現状は手作業に頼っている。科学的には食べても問題ない成分にも近づいているが、制度上、第三者に提供して実際に食べてもらうことはまだできない、などの課題は残されていた。

 そこで阪大は、細胞培養などの技術をもつ精密機器大手、島津製作所京都市)と、食品開発のノウハウを持つコンサルティング会社「シグマクシス」(東京)と3者で連携して、実用化を急ぐことにした。2025年の万博会場で来場者に培養肉を実食してもらえることをめざし、提供の可否や生産規模などについて大阪府と協議を進めているという。

 技術は人の細胞にも応用可能なため、将来はiPS細胞を使った再生医療などへの活用なども目指す。松崎さんは「実際に培養肉を口にすることで、新しい技術を体感してもらえる場にできるよう、開発を急ぎたい」と話す。(竹野内崇宏)