空き家活用 決め手はDIY 移住者ニーズを公的に後押し

斉藤智子
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 徳島県の住宅空き家率は全国で5番目に高い。年々増加傾向にある空き家を移住者らに積極的に利活用してもらうため、自身の手で改修したいというニーズをワークショップ形式の講習で後押しする公的な取り組みに注目が集まっている。床や壁、天井も作る「ガチ」な講習で、3年目の今年度は改修事例をユーチューブで中継配信もした。

小屋をカフェに

 神山町の山あいの中津集落に、赤い屋根に赤い扉、ウッドデッキが特徴の「Cafe BROMPTON DEPO」がある。この建物から2月中旬、ユーチューブでの中継配信があった。

 20年ほど使われずに傷んでいた小屋の床下に新たな基礎のコンクリートを打設し、床はヒノキ材を張ってオイルステインで塗装。赤い扉はスギ材を張り合わせ、ヒノキで枠を作成。窓や棚も手作りで、れんがを敷いて薪ストーブを据えたことなどが説明された。

 「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターが主催するDIYワークショップの一環で、空き家改修の事例として紹介されたのだ。

 英国の「BROMPTON(ブロンプトン)」製の自転車をレンタルすることができるというカフェ。オーナー大門康介さん(50)のこだわりと「自転車でゆっくり走って神山を知ってもらいたい」という思いが詰まっている。

 友人らやSNSの呼びかけで集まった人たちに設計や作業を手伝ってもらい、半年ほどかけて改修し、2016年5月にオープン。寸法を間違えて切って継ぎ足した箇所もあり、雨の日には木が反ったり曲がったりもする。だが、大門さんは「完璧を目指さなくても、みんなでやればにぎやかで楽しいし、みんなが集まる場になる。失敗も思い出になる」。

 現在、カフェは休業中だが、自転車レンタルは町内のきたいクリーニング(088・676・0687)で受け付けている。

ワークショップ「満員」 工務店・建築士指南

 「とくしま回帰」住宅対策総合支援センターは、空き家の利活用や管理、相続、移住などの相談に乗る窓口で、県が委託して県住宅供給公社内に設置されている。空き家のDIYワークショップは、新たな移住希望者の発掘や県内で空き家改修に興味がある人の意識を高めようと19年度に始めた。

 ワークショップでは、県内の工務店や建築士らに現場管理、参加者の指南役などとして協力してもらい、公社が管理する集合住宅「藍住さくら団地」(藍住町)の空き部屋を実際に改修。参加者は10人以内の少人数で塗装や壁のクロス貼り、収納スペースづくりなどを体験する。これまで開催回はいずれも定員が満員になったという。

 改修によって団地の空き部屋は、壁や床を取り払って2DKが1DKに、畳敷きの和室はフローリングに生まれ変わった。部屋は移住希望者や企業向けの短期滞在に活用している。

 今年度は7回の講座を通じ、アウトドア活動や農作業から帰ってきた時に便利な広い土間がある部屋へ改修した。参加者の中には、「古民家を改修して宿にしたい」と話す人もいた。県住宅課によると、ほかにも「道具の使い方を丁寧に教えてもらえて、自分でも使えると思った」などの感想が寄せられているという。(斉藤智子)