高校の新必修「歴史総合」は脱・暗記へ 教科書著者が語る問いの意味

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聞き手・中島鉄郎
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 4月から「歴史総合」という新科目が、高校の必修となる。高校生が抱きがちな「重要な出来事の暗記」という歴史科目へのイメージを覆す狙いが込められており、戦後の歴史教育の大きな転換になる可能性を秘めるという。新しい教科書の執筆者の一人で歴史学者成田龍一さんに聞いた。

なりた・りゅういち

1951年生まれ。日本女子大名誉教授。専門は日本近現代史。近著に「危機の時代の歴史学のために」など歴史論集シリーズ3冊。

日本と世界をグローバルヒストリーとして学ぶ

 ――「歴史総合」とはどんな科目なのですか。

 「これまで世界史と日本史に分かれていた歴史科目を、18世紀以降の近現代史として『総合』した形で学ぶ新科目です。高校の必修科目となり、選択科目の『世界史探究』『日本史探究』に進むには先に履修するとされています。直接の契機は2006年、必修だった世界史の未履修問題が発覚したことで、日本学術会議も提言し、歴史科目改定の議論が進みました。4月から授業が始まります」

 ――一からつくる教科ですね。

 「そうです。18年に出た新学習指導要領には、18世紀以降の近現代史を学ぶために何をどう教えたらいいか、かなり事細かく記されています。それを元に、歴史教育の可能性を膨らませる方向で考え、編纂(へんさん)に加わりました」

 ――近代といっても日本で18世紀は江戸時代です。

 「この時期を世界史の大きな分岐点とみる学説を参考にしているからだと思います。米国の歴史学者ケネス・ポメランツが『大分岐』(00年)を出版し、18世紀初めまで中国の経済力は欧州と同等以上だったが、たまたま英国の産業革命を契機に欧州が優位に立ち、大分岐が起きたという説を唱えました。遅れたアジアが進んだ欧州を追う、という世界観を転換したのです」

 ――教科書の記述自体は、従来のように時系列ですか。

記事後半で、成田さんはフランスドイツの分厚い教科書を例に挙げ、「授業の進め方に工夫が必要だ」と語ります。「歴史とはどんな科目なのか」を解説しながら、話はウクライナ侵攻にも及びます。

 「『近代化』『国際秩序の変…

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