第2回母娘の命奪ったトレーラー、なぜ横転 謎に満ちた「一番の難事件」

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志村英司
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 2009年5月13日、名古屋市港区で大型トレーラーが横転した。

 載せていた長さ12メートルの海上コンテナが、左車線を走っていた乗用車を押しつぶし、女性2人が死亡した。

 なぜ横転したのか。愛知県警交通捜査員、大橋一仁(60)らが原因を調べた。年間約100件の現場に足を運ぶ大橋が、「ナンバーワンの難事件」と振り返るのがこの事故だ。

2021年に交通事故で亡くなった人は全国で2636人。悲惨な事故は後を絶ちません。交通事故捜査のベテラン警察官の足跡をたどって、事故捜査の現場と、事故が招く悲劇の実相に、6回の連載で迫ります。

 その日の午前11時40分ごろ、大橋は事故の一報を県警本部交通指導課の自席で受けた。

 すぐに書棚から地図を引っ張り出した。現場は片側2車線の主要地方道名古屋環状線。周囲には企業の工場が並ぶ。「仮設橋」という報告が上がっていた。

 トレーラーはカーブで大きく左側に傾き、横転したコンテナが隣を走っていた乗用車に覆いかぶさった。女性(当時64)が多発外傷で死亡、運転していた長女(当時41)も外傷性の窒息により死亡した。次女は胸などに大けがをした。

 乗用車はたまたま並走していただけで、何の落ち度もなかった。

 県警は、トレーラーを運転していた男性運転手(当時60)を自動車運転過失傷害の疑いで現行犯逮捕した。運転手は「なぜ横転したのか分からない」と話した。

 大橋がふだん使っている「ゼンリン」の地図では、現場の橋は直線だったが、実際は名古屋高速を建設するため、S字カーブの仮設橋になっていた。

ロックを忘れた?それとも…

 ナゾだらけだった…

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