無罪確定の元不動産会社長「検事が違法な取り調べ」 賠償求めて提訴
学校法人「明浄学院」(大阪府熊取町)の土地取引を巡り、業務上横領罪に問われ、無罪が確定した東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長(59)が29日、大阪地検特捜部の違法捜査によって精神的苦痛を受けたなどとして国に7億7千万円の国家賠償を求めて大阪地裁に提訴し、検事2人を証人威迫容疑などで最高検に刑事告発した。地検は「適切に対応したい」とのコメントを出した。
地裁は山岸元社長の判決で、検事が関係者の取り調べの際に「(プレ社の)評判をおとしめた大罪人」「会社が被った損害を賠償できるのか。それを背負う覚悟で話しているのか」と発言したと認定。「必要以上に強く責任を感じさせ、真実とは異なる供述に及ぶ強い動機を生じさせかねない」として無罪を導いた。
弁護団は、取り調べを録音・録画した映像には、検事が自らの発言について、検察内で「誘導している」「供述を強いている」などの指摘があったことを明かす場面があったとし「違法な取り調べを厭(いと)わずに暴走した」と主張。逮捕された影響でプレ社の信用が傷つき、多額の経済的な損失が生じたとも訴えている。
提訴後、大阪市内で会見した弁護団の中村和洋弁護士は「検察官がたまたま踏み外したのか、検察組織全体が誤りを犯したのか。取り調べ内容を(組織内で)どこまで承知していたのかが重要だ」と話した。(森下裕介)
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