囲碁界新時代へ 一力、井山の「大三冠」崩し棋聖奪取

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大出公二 尾崎希海
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 ついに山が動いた。最終第7局にもつれ込んだ第46期囲碁棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は、挑戦者の一力遼が井山裕太の10連覇を阻み、初の棋聖位に就いた。先達の強者を次々に打ち破り、長く頂点に君臨してきた井山の「大三冠」を、初めて後進が突き崩した。囲碁界は“1強”の時代が終わり、井山と後進の覇権争いは新たなフェーズを迎えた。

 18日午後7時2分、京都・仁和寺。すでに大勢は決していた。黒番一力の199手目を見て、井山は1分弱の少考後、頭を下げて投了した。一力は予期していたのだろう、すぐに頭を下げ返し、脇に脱ぎ捨てていた背広を着込む。一拍おいて井山が盤上を指さし、一局を振り返る感想戦が始まった。

 毎度の終局時の見慣れたシーン。歴史的な覇者交代の一局後も同様に繰り返され、淡々と盤上の戦術戦略をめぐるテクニカルなことばが交わされた。七転び八起きで大願を成就した一力の胸中には、どんな思いが去来したか。

 井山を3勝1敗とカド番に追…

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