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水俣病認定求める請求、熊本地裁が棄却 深刻化の時期に胎児や子ども

奥正光
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 九州の不知火海沿岸地域で生まれ育った男女7人が、水俣病の患者と認めなかった熊本、鹿児島両県の決定の取り消しと患者認定を求めた訴訟で、熊本地裁は30日、全員の請求を認めなかった。

 7人は、水俣病が公式確認された1956(昭和31)年前後に生まれた62~69歳の男女。原因企業チッソの水俣工場が流した廃水による不知火海の水銀汚染が深刻化し、重症患者が相次いで確認された時期に胎児・小児だった。

 幼いころから手足のしびれやふるえ、こむら返りなどに苦しんできたとして、公害健康被害補償法(公健法)に基づき水俣病患者に認定するよう県に申請した。だが患者と認められず、2015年10月に提訴した。

 原告の7人を含む計8人は07年、国と熊本県、チッソに損害賠償を求める訴訟を起こした。一審・熊本地裁は3人への賠償を命じたが、二審・福岡高裁は被告側の主張に基づき、感覚障害やこむら返り、めまいといった原告の症状はメチル水銀が原因ではなく、他の疾患の可能性があるなどとして全員の請求を棄却。最高裁が今年3月8日付で上告を退ける決定をして、原告敗訴が確定した。

 今回の患者認定を求める訴訟でも、両県は原告の症状はメチル水銀による可能性が低く、糖尿病やアルコール性の神経障害などを想定できると主張した。これに対し、原告はメチル水銀による可能性が極めて高いと反論していた。(奥正光)