記録ずくめの近江、滋賀県勢の悲願達成なるか 春の選抜で躍進中
第94回選抜高校野球大会は30日、準決勝2試合がある。開幕予定前日に京都国際の辞退で繰り上げ出場が決まった近江が、準備不足の心配をよそに、見事な戦いを見せてきた。選抜大会での4強進出は、滋賀県勢としても、補欠校としても初めて。近畿で唯一、春夏通して甲子園で優勝経験がない湖国の悲願はかなうか。
前回の93回大会まで、滋賀県勢の最高成績は過去5度の8強だった。34回大会(1962年)では、八幡商が、この年に史上初の春夏連覇を達成する作新学院(栃木)と、引き分け再試合にもつれ込む激戦を演じた。
県勢の通算勝利数は22。これは、今大会でも準決勝に進出した大阪桐蔭(28勝)や、浦和学院(埼玉、23勝)の1校分に及ばない。全国最多勝利の大阪勢(207勝)と比べると、約10分の1の数字だ。
選抜大会の重要な選考材料となる秋の近畿大会でも、昨年に近江が初戦突破するまで、3年間で7戦全敗だった。
県内で長年にわたって高校球児の指導に携わるある監督は、県勢の苦戦の理由の一つを有望な選手の県外への流出とみている。「近畿には日本一になった強豪も多く、憧れて進学するのだろう」と分析している。
一方、県大会のレベルアップも感じるという。県高野連は、大学野球の監督や食育の専門家を招き、指導者の研修会を開いている。「格差が縮まり、県大会を簡単に勝ち抜けなくなったことが甲子園(での好成績)につながっている」とみる。
過去12校ある補欠校からの出場も、最高成績は過去3度の8強だった。
今大会、近江は宿舎の手配ができず、2回戦前日の24日まで、彦根市の学校グラウンドで調整を続けた。それでも、多賀章仁監督(62)は「慣れたグラウンドで練習でき、リラックスできる面もある」と話していた。こうしたポジティブな気持ちの切り替えも、躍進につながったのかもしれない。(安藤仙一朗)
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