前回のあらすじ
「Q」は匿名掲示板に「ドロップ」と呼ばれる投稿を5千件近くくり返してきました。エリは、その英語の投稿を「たった1人で」日本語に訳す作業を担ったと主張します。記者はエリの過去の発言を頼りに、エリを直接知るという男性に接触します。
陰謀論集団「Qアノン」の実態に迫るこの連載は、最終章にうつる。
ここからは、Qアノンが信奉する「Q」ではないかと疑われているアジア系米国人、ロン・ワトキンス(34)への取材結果について伝えたい。
2021年10月、米ラスベガスのイベント会場で、ロンは私の最初の取材に応じた。年齢は「30代半ば」と答えた。「生年月日は公開したくない」という。
ロンは、過去について話すことを極端に嫌がった。「法で定められた、必要な情報だけを出すようにしている。警察と話すときのようなものだ。必要以上の情報を与える理由がない」
ただ、ロンは連邦下院議員をめざし、正式に立候補している。選挙活動も積極的に展開している。半ば公人だ。そのため私は可能な限り、ロンの過去を明らかにしようと努めた。
「すごく健全な思春期」「政府や政治には関心なかった」
その後、ロンが1987年に生まれたことがわかった。米アリゾナ州の行政機関から入手した有権者登録記録に記されているほか、本人も取材に認めた。
ただ、誕生日はこの記録では見られない。ロンも取材には答えず、私は独自に誕生日を確認した。現時点で、34歳だ。
コンピューターには「5、6…
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