本40万冊が落下、地震に頭抱える図書館 傾斜5度でもダメだった

石橋英昭
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 3月16日の地震で、東北大付属図書館(仙台市青葉区)では、おびただしい数の本が書棚から落ちた。昨年2月の地震でも同様の被害があり、ひもを渡したり、棚に傾斜をつけたりと手を打ったが、効果はあまりなかった。すべての本を戻すには2カ月ほどかかる見通しで、職員らは途方に暮れている。

 同館のまとめでは、本館と四つの分館で計約40万冊が落下。中でも青葉山キャンパスにある農学分館2階では、11万冊すべてが棚から落ちた。思想家・狩野亨吉が集めた近世の和書群「狩野文庫」など、本館の貴重な古典資料5万冊も含まれる。破損の有無はこれから調べる。

 11年前の東日本大震災では87万冊(本館)が落下し、建物の損傷も大きかった。以来、書棚の固定が進められ、様々な落下対策もとられてきた。

 各地の図書館でも広がるのが、落下防止バーだ。揺れると棚の下部からバーがはね上がり、本を止める仕掛けだ。今回、多くの本がバーを飛び越えて落ち、役立たずだった。

 見た目もかまわず、荷造りひもを網のように渡した棚もある。落下を防いだ所もあったが、これでは本の貸し出しに勝手が悪い。

 同館では、昨年2月の福島県沖地震でも同様の被害があった。このため、今年「決定打」として導入しようとしていたのが、傾斜がついた棚だ。書棚の奥に向けてそれぞれ5度、4度、3度の角度をつけ、一部で試していた。5度の棚は、落ちた数はやや少なかったという。ただこの棚では、斜めになった本が、後ろの棚の本と触れてしまい、傷つきやすいという難点がある。

 「結局、パーフェクトな落下防止策はない。『災害にレジリエント(回復力のある)な図書館』にするには、免震構造に建て替えるしかない」と、図書館長の大隅典子・東北大副学長。農学分館2階の復旧はめどがつかず、他の館も一部で利用制限が続く。

 県内では、宮城県図書館(仙台市泉区)の被害も大きく、3月25日まで休館。仙台市図書館は比較的落下が少なく、同18日に全館再開するなど、場所ごとの違いもあるようだ。石橋英昭

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    増谷文生
    (朝日新聞論説委員=教育)
    2022年4月2日12時18分 投稿
    【提案】

     3月の地震は、新幹線の脱線にしろ、発電所の被害にしろ、この記事にあるような図書館の被害にしろ、思った以上に大変な揺れだったようですね。これだけの揺れにもかかわらず死傷者が少なかったのは、東北地方のみなさんの日ごろの対策の成果だったのでしょ