ロシア軍に1カ月以上包囲されたウクライナ南東部の港湾都市マリウポリ。「人道回廊」を通じた避難が断続的に続くが、なお10万人以上が取り残されている。空爆、砲弾、銃撃戦……。5千人以上の市民が犠牲になったとされる街で何が起きたのか。市内から脱出した女性が、凄惨(せいさん)を極める街の様子を電話で証言した。
取材に応じたのは、カトリック系ボランティア団体の地元活動家カテリーナ・スホムリノワさん(44)。戦火の中で、負傷者や病人を病院に運び続けた。
産業都市マリウポリは、炭鉱で知られた州都ドネツクが2014年に親ロシア派武装勢力に占拠されるまで、石炭の積み出し港としても繁栄した。中心部から東にはずれた川向こうには、ウクライナ有数の金属コンビナート「アゾフスターリ」がある。
3月中旬、スホムリノワさんがコンビナートのさらに向こうにある「左岸地区」の病院に物資を運ぼうとして対岸に着いたとき、橋は破壊され、車で渡れなくなっていた。
壊れた橋を歩いて渡ると、倒…