陰謀論集団「Qアノン」が信奉する謎の投稿者「Q」ではないかと疑われているロン・ワトキンス(34)は1月、私の取材に対し、Qアノン運動に一部加担していたととれる「告白」をした。最終回は、その詳細を伝えたい。
前回のあらすじ
取材に対して、まるで「Q」の代弁者のように語るロン・ワトキンス。質問を重ねていくうちに、冗舌になっていくロン。記者は彼がウソをついていたことを悟ります。
もう一度聞いてみた「あなたはQか」
「左足のあたりに銃があります」
「どこからきた」
「アリゾナです。連邦議会に立候補しています。国境の壁で、写真を撮ってきました」
1月17日夜、米アリゾナ州。メキシコとの国境を視察に行ったロンは、検問所で国境警備隊とそんなやりとりを交わした。私はこの日、ロンに密着取材を試みていた。
ロンは選挙に出ていることを誇りに思っているように見えた。ただ、もともとは「政治に関心がなかった」と言う。過去の投票について問うと、「18歳の時に有権者登録した。投票しないことも投票の一種だ」と答えた。
取材の日は満月で、空がきれいだった。ロンは前日に6万ドル(約700万円)で購入したばかりという黒いジープのアクセルを踏み続けながら、「ここは空軍の施設かな。UFOが見られるかも」などと言う。
ロンがスマートフォンを車に接続することは決してなかった。「履歴を残したくない」というのが理由だ。どこで何をして生きてきたのか、ロンは過去を探られることを嫌がる。それと通じるものがある。クレジットカードも持っておらず、ガソリンスタンドや売店では、常に現金で支払っていた。
密着取材の最終盤、ロンのある「告白」に記者は動揺します。記事後半では、2人のやりとりを動画を含めてお伝えします。
多くの記者から「Qか」と何…