京都府北部、止まらぬ若者流出 高校生ら課題を議論

原田達矢
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 「地元が好き。でも、卒業したら出ようかな」

 京都府立西舞鶴高校3年の岩上栞(しおり)さん(17)は取材にそう話す。

 将来の夢は教師。自宅のある綾部市や、高校のある舞鶴市、周辺の自治体には教員免許を取れる大学がない。だから京都市内での進学を志望している。「都会に憧れもあるし」

 彼女のように考える子は多い。

 そして、舞鶴や福知山など5市2町からなる府北部地域では、若者の流出が長年の課題になってきた。

 出生率は全国平均より高いが、府は「(進学などで)15~19歳の転出が大きい」と分析している。

 国勢調査によると、この地域の人口は2010年に約31万人いたが、20年は約28万人に。国立社会保障・人口問題研究所は、40年に約21万人にまで減ると推計している。

 福知山市が16年に福知山公立大を開校したのも、「人が減る地域を支える」のが狙いだった。

 自慢は全国的に珍しい、地域振興に特化した地域経営学部。ただ、狙いに効果が出ているとは言えない。

 20年度の入学者の87・3%は府外出身者。ふるさとの課題を解決しようと全国各地の若者が学びに来ては、卒業後に去っていく。

 地元での就職につながればと、市の担当者は教職課程を大学につくろうと検討してはいる。

 一方、「教員の確保を考えると現状は難しい。人や資源面で、府側と連携が必要だ」とも話す。

 どうやって、若者を引き留めるか。各地で色んな取り組みが進んでいる。

 北部地域でつくる地域連携都市圏形成推進協議会も昨年、地域愛をキーワードに「高校生“みらい”会議」を本格始動させた。

 この地域の公立・私立12校の生徒24人が参加。おすすめカフェの紹介など「地元でやりたいこと」を、班別に話し合う取り組みだ。

 福知山高校の高尾悠冬(ゆうと)さん(17)は卒業後は地元を離れて進学するつもりだが、「会議」を通して北部に住む人や雰囲気がより好きになったという。「いつか地元に帰りたい」

 とはいえ、この取り組みも、若者流出に即効性があるとは限らない。

 企画した綾部市の担当者は「住む人が減っても、ふるさと納税など地域と関わる方法はさまざま。やれることをやるしかない」と語った。

 このほか、福知山高校では、養蚕業の後継者問題や商店街の活性化など、地元の課題に取り組む「みらい学」という授業がある。

 与謝野町の宮津天橋高校・加悦谷学舎は21年度、地元企業の担当者を講師役に迎えて、進路指導を始めた。生徒の視野を広げるためだが、地元就職につながればとも期待する。

 府も今春から府教委と連携して、府が運営する「ジョブパーク」へ登録してもらうよう、卒業する高校生へ呼びかけ始めた。

 同パークは、カウンセラーが就職活動の相談に乗ったり、企業について伝えるセミナーを開いたりと、就職に関してワンストップで支援する拠点だ。

 そこには北部だけでなく、いや、むしろ京都市内の企業情報がたくさん集まる。京都市内に人がさらに流れるのでは?

 記者がそう疑問をぶつけると、同パークの北部地域担当者はこう言った。

 「北部として情報発信を頑張りたい」(原田達矢)