「腕立て伏せみれば…」採用試験から上体起こしなど廃止 埼玉県警

山田暢史 仁村秀一
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 埼玉県警が警察官の採用試験の項目や受験資格を見直している。少子高齢化が進むなか、受験者の負担を減らし、間口も広げて人材の確保につなげる狙いだ。

 県警採用センターによると、2022年度の採用試験から、体力検査の上体起こしと人物試験での集団討論をやめる。上体起こしの廃止は、腕立て伏せや反復横跳びといった他の運動をみれば、身体能力は判断できるというのが理由だ。

 1998年に導入された集団討論は、個別面接をすれば人間性を判断できるとして廃止する。いずれも新型コロナ対策で20年度の試験から中止されているが、今回、正式に取りやめる。

 また、これまで県警察学校さいたま市北区)で実施していた身体検査について、関東の1都6県以外に住む受験者は、居住地の近くの医療機関で受けられるようにする。検査を受けるための宿泊費や交通費の負担を軽減するのが目的だという。

 見直しの背景にあるのは、受験者数の減少傾向だ。21年度にも受験資格で30歳未満としていた年齢上限を35歳未満に引き上げ、検査項目の身長と体重の基準を削除した。加点対象も、従来の剣道と柔道の経験者らだけでなく、新たに空手や日本拳法、合気道のほか、全国大会に出場したスポーツ歴も加えた。

 効果はすぐに表れた。20年度に3595人だった県内試験の受験者数は21年度、4020人に増加した。

 採用センターの担当者は「安定だけでなく、自己実現を重視する人が増えている。一人でも多くの人に興味をもってもらいたい」と話している。

 県警は22年度の採用試験で、昨年度と同じ415人を募集する。第1回は4月8日までに受け付けし、1次試験は5月8日の予定。採用試験では1次試験が一般教養や論作文、2次試験で体力検査や個別面接を実施。二つの試験の総合得点で最終的な合否を判断する。

 申し込みは県警ホームページから。問い合わせは採用センター(0120・373514)へ。(山田暢史)

科捜研、交通機動隊の体験セミナーも

 県警は本部や各署の担当者が業務内容を説明するセミナーも開いている。

 深谷市本住町の県警北部機動センターで3月2日にあった鑑識課・科学捜査研究所・交通機動隊の合同セミナー。学生や社会人など男女7人が参加し、鑑識作業を体験し、訓練を見学した。

 参加者は殺人事件が発生した想定で模擬現場へ。「自分だったらどこを触るか、指紋が付いていそうな場所を考えて」などとアドバイスを受けて空き缶にアルミ粉末をのせ、浮かび上がった指紋を転写シートに写し取った。凶器とみられる刃物からは血液を採取し、血液が人間のものか検査した。

 白バイやパトカーの乗車体験や警察犬訓練の見学もあり、戸田市出身の大学生は「仕事の一端を肌で感じることができた」と笑顔を見せた。

 質疑応答では「命の危険を感じたのは、どんなときか」「被害者や加害者と接するうえで難しいことは」「警察学校卒業後の配属はどのように決まるのか」などの質問が相次いだ。熱心にメモをとっていた熊谷市の専門学校生は「警察といえば刑事というイメージだったが、ほかの仕事も魅力的だと思った」と話した。

 3月6日には広報課と通信指令課が合同セミナーを県警本部で実施し、参加者らは通報の受理や指令を実際に体験した。(仁村秀一)