W杯カタール大会のスタジアムを訪問 日本戦会場も冷房システム設置
砂漠に造られた舗装道路をひたすら走る。車窓から見える風景に緑は見当たらない。
カタールの首都ドーハの中心街から車で北へ約30分。ようやく左手に網目模様の巨大な建造物が目に入ってきた。
11月開幕のサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝の舞台、ルサイルスタジアムだ。12月18日に全世界から注目を浴びる8万人収容の大型スタジアムは、ドーハから約20キロ離れた砂漠地域にあった。
スタジアムは4月1日に報道陣に公開された。一般的な外観と異なるスタジアムは、アラブの工芸品をモチーフにした網目で構成されていた。遠くからでは、競技場とは思えないたたずまいだ。
まず驚かされたのは、W杯開催に伴い、町もなかったこの平地にゼロからスタジアムをつくり、都市を整備するという計画だ。
訪れた日は、スタジアムの周囲には内部がむき出しの建設中のビルが乱立していた。砂ぼこりが舞う中、いくつもの重機が置かれていた。W杯までに、この地にはショッピングセンターやレジャー施設ができ、ドーハ中心部から地下鉄でつながる予定という。
「持続可能性のあるスタジアムだ」。ルサイルスタジアムのプロジェクトマネジャー、タミム・アビド氏は自信を持って話した。大会では、環境に考慮した持続可能な社会構築を理念の一つに掲げる。大会後はスタジアムの大部分を解体し、住宅や店を併設させ、約20万人が暮らす都市にするアイデアがあるという。
スタジアム内に入り、選手たちが試合をするピッチレベルに足を運んだ。
突き抜けるような青空の下、緑の芝が広がる。何台もの照明器があてられ、養生が進められている。この日のドーハの日中の気温は33度。芝生は照りつける日光にもさらされていたが、近くで見たところ、順調に育っているようだった。
夏は最高気温40度を超えるカタール。招致決定後、これまでのような6~7月の開催では酷暑が懸念されるとし、11~12月の冬季開催に変更された。
ただし、冬場でも最高気温は30度を上回り、午後1時開始予定の試合もある。
昨夏の東京オリンピック(五輪)でも、暑さは課題になった。テニスでは選手がめまいや呼吸の苦しさを訴え、大会中に試合開始時間が午前11時や正午から午後3時に変更された。
暑さ対策として、W杯カター…
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