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出生前検査のNIPT、35歳の年齢制限なくなり混乱?いちから解説

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聞き手・水野梓
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 おなかの赤ちゃんの染色体異常を調べる出生前検査(NIPT)が、年齢に関わらず、お金を払えば誰でも受けられるようになります。そもそもこの検査はどんなもので、課題はあるのでしょうか。朝日新聞の医療情報サイト「朝日新聞アピタル」の岡崎明子編集長が、いちから解説します。

出生前検査?出生前診断?NIPT?

 ――出生前検査や出生前診断という言葉をよく聞きます。

 いろんなタイプの検査があるんですけれども、今回ニュースになったのは「NIPT」と言われる検査で、妊婦さんの血液から、生まれてくる赤ちゃんの病気の可能性を調べるものです。

 妊娠10週以降になると、お母さんの血液には、赤ちゃん由来のDNAの一部が混ざってきます。10ccほど採血することで、染色体異常の可能性が高いかどうかわかります。

 具体的にわかるのは、ダウン症(21トリソミー)、13トリソミー、18トリソミーといった染色体異常の有無の可能性です。

 ――どれぐらいの割合で、染色体異常がわかるのでしょうか。

 年齢によって違います。35歳以上になると確率が高くなってくるので、これまでのNIPTは、35歳以上という年齢制限がありました。

 ――そして今回、NIPTの年齢制限がなくなるんですよね。

 はい。希望すれば誰でも受けられるようになります。

認定施設を認定外施設の違いは

 ――NIPTを受けられる医療施設は、認定されているところと認定されていないところがあるとか。

 そうです。まず、アメリカでNIPTが始まったのが2010~11年ごろです。妊娠10週の血液検査だけでそれなりに高い確率で赤ちゃんの異常がわかる検査ということで、すぐ日本にも入ってくるだろうという話が、日本の学会でも翌年ごろから出始めていました。

 ただ、そうすると、採血だけすればいいので、産婦人科以外、例えば美容外科整形外科や内科でも、医師免許さえあれば誰でもできるということになります。

 やみくもに広がれば、結果を受け止める妊婦さんも混乱するだろうと、何らかの規制を設けようと動きがありました。日本医学会というお医者さんたちの集まりが、2013年から、検査できる施設を認定制にしました。

ポッドキャストでもお聞きいただけます。Apple Podcasts や Spotify では毎日さまざまな番組を配信中。音声プレーヤー右上にある「i」の右のボタン(購読)でリンクが表示されます。

 ――でも、「NIPT」というキーワードで検索をすると、色んな施設の広告が出てきて、認定された施設だけではなさそうです。受けるほうは戸惑いますよね。

 検索すると、安さをうたう認定外のクリニックなどの広告がたくさんでてきますよね。

 認定施設は、学会のホームページhttps://jams.med.or.jp/rinshobukai_ghs/facilities.html別ウインドウで開きますで確認できます。認定施設の費用はおおむね15万円前後です。

 昨年3月の調査だと、認定施設は108カ所、認定外施設が138カ所あって、認定されていない施設のほうが多かったそうです。

 ――認定外施設で何かトラブルは起こっているんでしょうか。

 検査自体は検査会社が行うの…

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    田中俊之
    (大妻女子大学准教授 男性学研究者)
    2022年4月18日12時14分 投稿
    【視点】

    出生前検査(NIPT)について議論が広まらないのは、妊娠する人の数が年間80万人程度という少なさであることが理由としてあげられています。確かにその通りなのです。ただ、父親を合わせればまだ少ないとはいえ倍の160万人になります。この問題にかぎ

  • commentatorHeader
    山下剛
    (朝日新聞横浜総局次長=医療的ケア児)
    2022年4月18日23時42分 投稿
    【視点】

    障害のある子どもを育てている当事者のひとりとして思うのは、この問題は妊娠・出産だけの話ではない、ということです。 個人的な話で恐縮ですが、妻は産婦人科医で、NICU(新生児集中治療室)で働いている新生児科医です。病気や障害のある赤ちゃ