おなかの赤ちゃんの染色体異常を調べる出生前検査(NIPT)が、希望すれば誰でも受けられるようになります。妊婦の血液検査をするだけで、生まれてくる赤ちゃんにダウン症などの可能性があるかどうかがわかる検査です。検査が一般化していくことについて、ダウン症の次男(10)と暮らす俳優でタレントの奥山佳恵さんに思いを聞きました。
――認定施設での出生前検査は、これまでは35歳以上という制限がありました。今回、年齢制限がなくなり、お金を払えば誰でも受けられるようになります。
我が家もそうですが、ダウン症児のいる家族がどんな暮らしをしているかをみなさんに知ってもらう前に、検査が先に行われてしまうのはとても心配です。
出産前から「障害のある子がやってきても大丈夫!」と言える親は果たしてどれぐらいいるのだろうと率直に感じます。
検査結果が陽性と出たときのことを想定して、ご家族で話し合ってから、しっかりとした気持ちで受けることが前提なのかなと思います。
――奥山さんが出産された当時は、今回クローズアップされている出生前検査(NIPT)はなかったんですよね。
はい。私の時はまだなく、エコー検査でも見つからなかったので、のんきに何も考えず、出産を迎えることができました。
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次男がダウン症とわかった時は…
――出産後、次男の美良生君がダウン症とわかった時の気持ちは。
当時は健常児の長男の子育てにものすごくてこずっていました。全然寝なくて、24時間中、23時間50分は彼にとられるという地獄の日々でした(笑)
「眠れぬ森の育児『キレイごと』だけではすまない壮絶育児サバイバル」というタイトルの本を書いたほどです。
だから、「健常児の子どもですら大騒ぎしながら育てた私が障害児を育てられるのか」「これまでやってきた仕事もできなくなるのでは」「とんでもないモンスターがやってきて家の中がぐちゃくちゃになるのでは」と次々に不安が押し寄せて、でも進んでいかなければならず、暗い山の中を登っていくような気持ちでした。
でも、実際に子育てを始めて…