本屋大賞に逢坂冬馬さん「同志少女よ、敵を撃て」 ソ連の少女描く

野波健祐
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 全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ第19回本屋大賞が6日発表され、逢坂冬馬さん(36)の長編小説「同志少女よ、敵を撃て」(早川書房)に決まった。

 受賞作は、第2次世界大戦時にドイツ軍によって母親を惨殺され、女性だけで編成された狙撃小隊に入ったソ連の少女が主人公。スターリングラード攻防戦をはじめとした最前線での過酷な戦いを、臨場感あふれる筆致で描いた。

 逢坂さんは1985年、埼玉県所沢市生まれ。明治学院大卒業後、会社勤めをしながら執筆した今作が昨年のアガサ・クリスティー賞を受け、デビューした。

 逢坂さんは受賞あいさつで、ロシアのウクライナ侵攻に言及し、「私の描いた主人公セラフィマがこのロシアを見たならば、悲しみはしてもおそらく絶望はしないのだと思います。彼女はただ一人か、あるいは傍らにいる誰かと町に出て、自分が必要とされていると思ったことをするのだと思います。私も絶望することはやめます」と話した。「戦争に反対し、平和構築のための努力をします。それは小説を書く上でも、それ以外の場面でも、変わりはありません」と続けた。

 今回の本屋大賞は2020年12月~21年11月に国内で刊行された小説が対象。全国の書店員の投票で大賞が決まった。(野波健祐)

 2位以下の結果は以下の通り。

2位 「赤と青とエスキース」(青山美智子、PHP研究所)

3位 「スモールワールズ」(一穂ミチ、講談社)

4位 「正欲」(朝井リョウ、新潮社)

5位 「六人の嘘(うそ)つきな大学生」(浅倉秋成、KADOKAWA)

6位 「夜が明ける」(西加奈子、新潮社)

7位 「残月記」(小田雅久仁、双葉社)

8位 「硝子(がらす)の塔の殺人」(知念実希人、実業之日本社)

9位 「黒牢城」(米澤穂信、KADOKAWA)

10位 「星を掬(すく)う」(町田そのこ、中央公論新社)

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