第32回「ロシアのせいで2度家を追われた」先住民族 リビウで思う故郷は

有料会員記事ウクライナ情勢

リビウ=高野裕介
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 ロシア軍が侵攻したウクライナでは8年前、南部のクリミア半島がロシアに占領された。この際、家を追われた少数派の先住民族クリミア・タタール人には、今回のロシア軍の侵攻で再び避難を余儀なくされた人たちもいる。旧ソ連時代に強制移住させられるなど苦難の歴史を持つ人々。望郷の念を募らせ、自らの土地に帰ることを待ち望んでいる。

 「アラー・アクバル(神は偉大なり)」

 3月6日夕、ウクライナ西部リビウにある古びたビルの一室を訪ねると、イスラム教徒の礼拝の声が響いた。クリミア・タタール人ら20人ほどが3列に並んで祈っている。彼らの多くが信仰するのは、ウクライナでは少数派のイスラム教だ。

 ウクライナ各地から戦火を逃れてやってきた人たちが滞在し、礼拝中も疲れ果てて部屋の隅で寝たままの人もいた。「首都キエフ(キーウ)にハルキウ。数え切れないほどの人たちが家を失った」。隣接する事務所で避難民の支援に当たるエルダル・ウメロフさん(28)がため息をついた。「でも、いつかはクリミアに戻るという気持ちは誰もが変わっていません」

ロシアに住まいを追われたクリミア・タタール人は、過去にも強制移住を経験するなど、長きにわたる苦難の歴史があります。記事後半では離散したタタール人が体験した理不尽な仕打ちや、故郷への思いを語ります

 タタール人は第2次世界大戦…

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