期待一身に2年ぶり新入生 進む少子化、山梨県内新小学生6千人割る

米沢信義 池田拓哉
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 山梨県内の多くの小中学校で6日、入学式があった。少子化が進むなか、2年ぶりに新入生を迎えた学校も。地域で広がる子どもたちの安全の見守り活動もスタートした。

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 人口約900人の早川町の山間部にある早川北小学校では、2年ぶりに新入生1人を迎え、入学式が行われた。

 町は2003年度から山村留学制度を始め、子育て世帯を受け入れているが、町中心部から離れた北小では過疎化が進んだこともあり昨年度の新入生はゼロ。早川卓也校長は「ぽっかり穴があいたようで、本当に待ちに待った新入生です」と話す。

 新1年生は10年前に東京から山村留学で移住してきた池田良さん(50)、優子さん(49)夫妻の4男の昇志朗(しょうじろう)さん(6)。兄の3人も同小の卒業生で「自然に囲まれた少人数の環境でのびのびと育ってほしいと、この学校を選びました」と良さんはいう。

 体育館で行われた式で、昇志朗さんは5年生と手をつないで緊張気味に入場。早川校長から「昇志朗さん、入学おめでとうございます」と呼びかけられると、「ありがとうございます」と元気に返事をした。来賓の辻一幸町長は「北小ただ1人の1年生。町中のみんなが祝っていますよ」と身を乗り出してあいさつした。

 同小ではほかの学年でも県外からの山村留学の子ども2人が転入し、全校児童12人のスタートとなった。

 辻町長は「学校あっての地域で、地域あっての学校。小さな学校でも残さなければ」という。

 県教委によると、10年前の12年度に約7200人だった小学校の新入生は、今年度は6千人を割り込む見込みで、特に中山間地の少子化が加速しているという。

 甲府市北部の山間地にある千代田小学校では、17年度から通学区域外からも通える小規模特認校制を導入している。6日には市内他学区の2人を含めた3人の新入生が入学式に臨んだ。全児童数12人のうち9人が学区外となり、少人数を生かした教育に取り組んでいる。(米沢信義)

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 新学期を迎えた6日、韮崎市で「通学路一斉見守り作戦」が実施された。午前7時半、同市藤井町北下條の通学路には甲斐署員らが立ち会い、横断歩道と平行に手を広げるなどして子どもたちの存在を車の運転手に伝えた。

 この横断歩道では、近くの元中学教諭、輿水豊さん(84)が「横断中」と記された黄色い旗を持ち、7年前から毎朝立っている。「小学校に入った孫のためと思い活動を始めた。地域のために役立てればうれしい」と話していた。

 甲斐署などは昨秋、管内(韮崎市、甲斐市)で事故の危険性が高い交差点などを選んだ。このうち特に注意すべき30カ所で今春、一斉見守り活動を実施することにした。昨年6月、千葉県八街市で小学生の列に飲酒運転のトラックが突っ込み、児童5人が死傷した事故がきっかけだった。

 各市町村は一年を通じ、通学の安全を住民が見守る「スクールガード活動」を展開している。しかし、高齢を理由に引退する住民も多く、県教委は「参加者は減っている」とする。

 そのため県教委は、活動のリーダーを養成する事業に力を入れている。元教員や元警察官など19人が委嘱され、地域住民に活動のポイントを助言する。

 このうち4人は南アルプス市で活動中だ。下校が早まったり、学校などから不審者情報が寄せられたりした場合、見守り活動をする住民に連絡する役割を担う。

 市内の中学生も見守りに一役買っている。市立若草中の生徒会は校区内の小学校を訪問し、児童らに「登下校で困ったことがあれば中学生を頼って」と呼びかけている。下校中に田んぼに落ちた小学生が生徒に助けられたこともあるという。

 県教委保健体育課の山田芳樹課長補佐は「子どもの見守りは地域の責務。活動への理解や参加が広がって欲しい」と話している。(池田拓哉)