大規模噴火の津波、気象庁が予想到達時刻を発表 空振の速度から

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吉沢英将
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 気象庁は7日、海外で大規模な噴火が発生した場合、気圧の波(空振)による津波の日本への予想到達時刻を示すと発表した。トンガ諸島の海底火山の噴火で、空振による潮位の上昇が国内でも観測されたことを受けた対応。同庁は今後、噴火による津波情報の出し方を検討する。

 気象庁は通常、地震の規模や震源の位置情報をもとに津波の高さや到達時間を予測し、地震発生から約3分をめどに津波注意報や警報を出す。噴火に伴う津波はすぐに予測する手法がないため、検潮所で基準以上の潮位上昇を観測してから発表する。

 トンガ諸島の噴火では、津波の経路上にある海外の観測点での潮位変化は数十センチと小さく、同庁は噴火から約6時間後の1月15日午後7時ごろに「津波被害の心配なし」と発表。しかし、午後11時56分に鹿児島県奄美市で134センチの潮位上昇を観測。翌16日午前0時15分になって津波警報・注意報を発表した。

気圧の波、海面も波立たせる

 一方、有識者らでつくる勉強会が今回の潮位上昇のメカニズムを今月7日に報告。それによると、空振は噴火から7時間以上経った午後8時40分ごろ本州付近に到達し、気圧の上昇を観測。その30分~1時間後に潮位変化が始まった。空振で海面が押し出されたためと結論付けた。

 これらの分析結果から、同庁は空振の典型的な速度を秒速300メートルほどだとみて、津波の到達時刻を予測できると判断した。今後、噴煙高度が1万5千メートル以上になる海外の噴火を対象に、噴火から2時間以内に津波への注意喚起を呼びかけるとともに、日本への到達予想時刻も発表することにした。

 ただ、気圧変化の大きさや、海外の気圧・潮位データから日本での潮位変化の大きさを予測することは現時点では難しいという。同庁は今後も当面は、津波注意報・警報の発表は国内の検潮所で基準以上の潮位上昇を観測してからとしている。

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