長野にいながら東京にリモート就職 IT企業と連携
茅野から東京の企業に勤めませんか――。長野県茅野市が東京都立川市のIT企業と連携し、テレワークを前提とした「リモート就職」に取り組んでいる。若者の流出を食い止めたい茅野市と、IT人材を確保したい企業との思惑が一致。今後、採用活動を本格化させていくという。
茅野市には情報工学などを専攻できる公立諏訪東京理科大があるが、市によると、地元には卒業生の就職先となるIT企業が十分なく、専門性を生かせる仕事を求めて卒業後に市を離れる学生も少なくないという。2020年の茅野市の人口は5万6400人で、5年前から488人増えた。45~54歳は1143人増となった一方、25~44歳は2060人減で若者らの流出が課題となっていた。
一方、都心のIT企業への就職を希望する新卒者が多い中、立川商工会議所(東京都立川市)に所属する約30社からなる「たちかわIT交流会」も専門性を備えた人材確保が懸案だった。
茅野市と立川市は鉄道で1時間40分ほど。企業側がテレワークを前提とした採用をすることで「ウィンウィンの関係になれる」と一昨年から交流会を通じた連携を開始。昨年9月と今年1月にはインターンシップを開催、計20人ほどの学生が参加した。コロナ禍ということもあり、採用には至らなかったが、今年度からは活動をさらに本格化させる。
採用職種は主にSE(システムエンジニア)やプログラマー。茅野市は、茅野駅前のビルにシェアオフィス「ワークラボ八ケ岳」を設置し、テレワークができる環境を整えた。
交流会に所属する「東洋システム」は現在社員の7~8割が自宅などでテレワーク中。交流会会長を務める飯田哲郎社長は「IT分野はどこにいても仕事がしやすく、茅野市にはニーズもシーズ(種)もある。インターンのようなかたちで地元の大学生とも交流を深めていきたい」と話す。(遠藤和希)
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